マウンドの68球は、まるでピースを一つずつはめ込むようだった。DeNAは13日の中日戦(横浜)に5―0で快勝し、2連勝で2カード連続勝ち越し。セ3位をキープし、4位・巨人を勝率でわずかに上回った。2位・阪神との差も2・5ゲームに縮まり、反攻の足場を固める1勝となった。

 主役はドラフト2位ルーキーの島田舜也投手(23)だった。プロ2度目、初の本拠地登板で6回球を投げ、5安打無失点、9奪三振。初回から3者連続三振で滑り出すと、5回には3者連続3球三振の「イマキュレートイニング」を達成した。史上23人目、セ新人では史上初の快挙。6回一死満塁のピンチも後続を連続三振に仕留め、プロ初勝利をつかんだ。

 単なる勢い任せではない。島田の強みは、ゲームを一球ごとに組み立てる冷静さにある。趣味はLEGOとパズル。小さな部品を選び、形を読み、全体像へ近づけていく作業は打者との勝負にも通じる。直球で押すだけでなくカウント、配球、勝負球を積み上げる「ビルドアップ」の感覚が、圧巻の9奪三振に結びついた。

 精神面の組み立ても独特だ。登板前には、野球を始めるきっかけをくれた4歳上の兄・蓮也さんとLINEで「試合のテーマ」を確認する。この日の合言葉も「とにかく楽しむ」。試合後は「初勝利はうれしいですけど、これからも勝ち続けないといけない。この1勝は今日だけのうれしいものとして明日からもう一回切り替えて、次の登板に向けて準備していきたい」と浮かれなかった。

 毎朝、大学時代に祖父母から贈られた「にぎり守り」を握ることも欠かさない。「気持ちを入れるというよりは、毎日やっていることなので」

 日常を乱さず、心を整え、勝負どころで粘るための土台を自分で作る。相川亮二監督(49)が「あまり喜怒哀楽を顔に出さない」と評する強心臓も、偶然ではない。

 グラウンド内では投球を組み立て、外ではルーティンで心技体を積み上げる。新人ながら、島田は自らを高め続ける「特異環境」を自分の手で作り上げている。球団の先輩・東克樹投手(30)や今永昇太投手(32=カブス)のようなエース級へ――。背番号15がこのままピースを積み上げれば、悲願のリーグ制覇へ欠かせない柱になる可能性は十分にある。