第107回全国高校野球選手権大会の第15日(23日)に決勝戦が甲子園球場で行われ、沖縄尚学が日大三(西東京)に3―1で逆転勝ち。センバツでは2度の優勝経験を誇る同校が夏は初めて全国の頂点に立ち、15年ぶりに深紅の大優勝旗が沖縄へ渡った。

 最後まで守りの野球を貫いた。初回に先制を許したものの、先発の新垣有(2年)が8回途中1失点の好投。最終回は2番手・末吉(2年)がピンチを背負ったが、最後は併殺打に打ち取り歓喜の瞬間を迎えた。比嘉監督は「不思議な感覚です。自分たちのアイデアでやるところはやる、普段通りの野球ができた」とナインをたたえた。

勝負は残酷… 泣きながらスタンドに向かう日大三・田中諒
勝負は残酷… 泣きながらスタンドに向かう日大三・田中諒

 県勢15年ぶりとなる全国制覇。沖縄では飛行機が増便され多くの人が球場に訪れるなど、その熱は増すばかりだ。同校の末吉康徳校長は「県出身者が一堂に会している。本当に熱中症になるくらいの熱気です」と県民の喜びを表現した。

 甲子園出場にかかる費用を募るクラウドファンディングは2日間で1300万円以上が集まり、今大会の出場校では最高額となった。学校側の遠征費などの負担が減れば、部への設備投資も可能となる。末吉、新垣有といった主力投手が残る来年のチームがさらに力をつければ来春のセンバツ、来夏の甲子園での連覇という〝3連覇〟の大偉業も見えてくる。

 末吉校長は「前回優勝したのがもう17年前。器具も古くなっているし、練習場も変えないといけない。毎年コツコツ(費用を)貯めている状況ですので、この優勝を踏まえて心機一転できればと思っています」と環境改善に力を入れる構えを示した。

 ナインとしても設備の充実は切実な願いだ。選手の間からは「グラウンドの土がボコボコでイレギュラーが大変」「室内練習場がないので雨が降ると打撃練習ができない」といった声が…。投手陣からも「せめてプルペンだけでも屋根があると…。沖縄は雨がよく降るので(梅雨の時期は)1週間に2日晴れてくれたらいいほう。(大会前は)投げられる日が少ないので毎日入って『これが最後のブルペンかも』と思っています」と天気との戦いが明かした。

 さらに寮生からは「風呂場と洗面台が一緒なんです。(風呂場は)1人でも狭めです」と苦笑い。ライバル校が充実した設備を持つ中で、これだけの結果を残せるのは比嘉監督の指導力、そして選手の努力があってこそだ。それだけに結果を残して環境が充実すれば有望な選手も集まるという〝好循環〟に入ることができる。

 もちろん、簡単な道のりではない。すでに組み合わせが発表されている沖縄の秋季大会では、興南やエナジックスポーツといったライバル校と同ブロック。強豪2校を倒せなければ、その瞬間にセンバツの可能性は絶たれることとなる。また、選手の一人は「今のチームには2年両投手が安心して投げられるだけの守備力がある。今の2年生がレベルアップしてそれだけの守備をつくり上げられるか」と早くも新チームへの課題を挙げた。

 沖縄、そして全国に感動を届けた沖縄尚学。パワーアップするであろう新チームは史上初となる大偉業の希望になれるか――。