新日本プロレス真夏の祭典「G1クライマックス」3日福岡大会のAブロック公式戦で、棚橋弘至(48)が辻陽太(31)から3勝目を挙げ、G1通算100勝の金字塔を達成した。自身の持つ歴代最多勝利数記録をさらに更新し、大台に到達。予選免除での出場は一部で賛否も呼んだが、大舞台で輝きを取り戻している。来年1月4日東京ドーム大会での引退を控える棚橋が、最後のG1で背負う〝使命〟とは――。

 節目の勝利はかつての付け人からだった。終盤にハイフライアタックを決めた棚橋は、背中への一撃から正調へとつなぐハイフライフロー2連発で3カウントを奪取した。優勝戦線に生き残り「生まれてから、諦めたことないから。最後まで全力で、ちょっくら優勝してきます」とマイクアピール。そして「愛してま~す!」で大会を締めくくった。

福岡のファンと触れ合う棚橋
福岡のファンと触れ合う棚橋

  実に23回目の出場で金字塔を打ち立てた。G1通算勝利数2位のオカダ・カズチカ(80勝)、3位の内藤哲也(77勝)はともに新日本を退団しており、100勝の大台は不滅の大記録となる可能性もある。「誰にも破られないかもしれない。100年に一人の逸材が見事に証明できました。でも通過点。101勝、102勝と積み上げていくから、ご期待あれ」と誓った。

 積み重ねてきた勝利の中でも、忘れられないものがある。本紙の取材に応じた棚橋は特に印象に残っている試合として、優勝を飾った3度の優勝決定戦(2007年、15年、18年)を挙げた。

「やっぱり中邑(真輔)と決勝やった試合(15年)ですね。中邑が試合後に(自分の)腕を上げてくれてね。辞めていく決意だったっていうのが後で分かりましたけど。飯伏(幸太)との試合も思い出深いですね。日本武道館で。あと、初めて優勝した時の永田(裕志)さんもキツかったな…。優勝決定戦は全部記憶に残ってますし、最後にもう一度あの舞台に立ちたいですね」と、ラストG1で最高の記憶を塗り替えるつもりだ。

 昨年大会は出場者決定戦で敗れ、連続出場記録がストップ。にもかかわらず、ラストG1となる今年は出場者決定戦を経ずにストレートでの本戦出場が発表され賛否を呼んだ。「文句のない試合内容を残すしかないですよね。結果、良かったんじゃないかって、全部終わってみて思われるように。僕は勝敗は今はもちろん気にしてますけど、1試合にかける熱量が高くないといけないなって。黙らせてやりますよ」。〝忖度〟と言われないためにも、ふがいない戦いは見せられない。

 新日本を暗黒時代から立て直し、25年間のキャリアで最後まで最前線で戦い続ける棚橋には今大会で背負う使命がある。「一番を目指さなくなった時に引退するんだって、ずっと自分で言ってきて。だから理想としては最後の最後まで一番を目指していきますよ。見せたいのはその姿勢ですかね。何歳になっても、どんな状態になっても、上を目指すんだっていう。その気持ちが他のレスラーにも伝われば、新日本プロレス全体がまた上を向いていけると思うので」と言い切った。

 泣いても笑っても、これが最後のG1クライマックス。100年に一人の逸材は、その背中で真の「グレード1」を証明する。