首位・阪神は9日の広島戦(マツダ)に3―1で競り勝ち、大型連勝はついに「10」まで伸びた。2位につける鯉を8・5ゲーム差まで突き放し、完全に独走態勢に入った格好だ。投打にバランスが取れた布陣を敷く中、不動の2番打者の〝球宴選出漏れ〟には疑問の声も上がっている。

 この日は佐藤輝が本塁打キングを独走する22号ソロを放ち、先発・大竹が6回途中1失点でまとめて4人の救援陣で反撃を断ち切った。

 チームでは本塁打王と打点王を争う佐藤輝と森下が注目されがちだが、中野拓夢内野手(29)も〝いぶし銀〟の働きを見せている。4打数1安打1盗塁と派手さこそないものの、つなぎ役として日々の勝利に貢献。この日も1―1と同点に追いつかれた直後の3回一死一塁で迎えた第2打席で真骨頂をのぞかせた。

 外角中心の配球を辛抱強く見極めながらカウント2―2まで粘ると、一走・近本が相手バッテリーのスキを突いて二盗に成功。一死二塁と場面が変わった直後、この打席で唯一、内角に来た6球目の144キロ直球を強振した。近本の三進を念頭に置いた右方向への当たりは一塁への内野安打となり一、三塁。中野はすぐさま二盗を決め、一死一塁だった場面は一瞬で二、三塁にまで拡大した。

 中野が二塁へ進んだことで次打者・森下は申告敬遠されて満塁。ここで佐藤輝の併殺崩れの間に挙げた2点目が、結果的に決勝点となった。

 佐藤輝らの派手な活躍に見過ごされがちだが、中野は打率3割1厘(セ2位)、出塁率3割7分2厘(同1位)、28犠打(同1位)、14盗塁(同3位)とあらゆる成績で上位。それだけに「中野の復活こそが今季の虎打線の好調の最大の要因」と指摘する声も多い。

 しかも今季の二塁手でわずか1失策。勝負どころで好守に阻まれたライバル球団の関係者たちは「また中野に止められた…」と毎試合のようにため息をついている。

 走攻守のあらゆる面でチームの首位快走を支えているが、「マイナビオールスターゲーム2025」(23日=京セラ、24日=横浜)の二塁手部門では、牧(DeNA)に競り負けて2位。選手間投票、監督推薦でも選ばれなかったことはファンだけでなく、球団内外の関係者にも少なからず驚きを与えている。

 他球団の戦力分析担当者も「打率も残しているし、つなぎ役としての貢献も大きい選手なので選ばれていないのは意外」と語る。残るチャンスは16日に発表される「プラスワン投票」のみ。ルーキーイヤーの2021年から続く5年連続出場を滑り込みで果たせるのか注目される。