【元局アナ青池奈津子のメジャー通信】「ハワイからの必須アイテムは炊飯器、ヒノデライス(ハワイ米)、キムチ。あとはホットポット(鍋)」
大真面目に食の大切さを語るアイザイア・カイナーファレファから、聞き慣れた言葉が次々と飛びだして耳を疑った。日本に帰ると必ずスーツケースいっぱいに日本の食料品を詰めて戻ってくるのは、十数年たっても変わらない習慣だが、ハワイアンの彼が同じことをしているとは、想像すらしていなかったからだ。
「キムチはコリアンだけどね、ハワイは多人種文化だから。僕はしゃぶしゃぶなしでは生きられない。スープはミツワかHマート(アジア系スーパー)で買いだめするか、親にハワイから送ってもらう。日本のしゃぶしゃぶは水炊きが多いって知っているんだけどね、僕はビーフベースじゃないと嫌なんだ」
アイザイアは日本人と白人の血がそれぞれ4分の1入ったサモア人のハーフ。本人は血筋に限らず「ハワイで育っているから、日本食文化が色濃いんだと思う。何せ全部ライスと一緒に食べるから。他にもチャイニーズやコリアンなど、いろんなアジア料理を日常的に食べるよ」と言う。シアトルやサンフランシスコなどの遠征先で、食事のデリバリーは日本食を探し、オフの日にはヤムチャを食べにいくあたり、胃袋は完全に同志だ。
なのに、ロサンゼルスでは日本食を食べたことがないという。米国でもロスほど日本食が充実しているところもないが「何でだろう。広くてどこに行っていいか分からず、ポケで落ち着いてしまうことが多い」だそうだ。
「もっと探しに行かなきゃね。僕が一番好きな日本食はかけうどん、ハマチ料理。それから…ニューイヤーに食べるオゾーニ!」
確認したところ、ハワイの正月に雑煮を食べる習慣はないようだ。
「うちの家族は雑煮も食べるし、(年越し)そばも食べる。母が日本人のハーフで、祖母が日本人だから伝統の一つとして。うちの家族は日本の伝統に厳しいから、たとえ自分がクオーターでも食べなさいって言われて、納豆も目をつぶりながら食べるんだ。僕はそんなふうに育ってきたから、その食事がない方が不思議」
アイザイアの日本語の名字は「コマタニ」さんというらしい。興味深いのは、日系3世で日本語を話さない祖母メアリンさんがこれらの伝統を守り、娘、孫へと継承してきたこと。コマタニ家の正月の伝統の一つには「ワンバイト」なるものがある。
「出ている料理を必ずひと口は食べるという習慣。それが何かも聞かず、食べなさいって。だから豆類は好きではないけど、毎年新年には必ず食べるよ。その中でお雑煮が大好きだから、いつも1番に餅を食べているんだ」
私の周りにこの習慣を持っている日本人の家庭がなかったので分からないが、もしかしたらメアリンさんの祖先の出身地に、そんなふうに料理を食べることで、食事に感謝する伝統があったのかもしれない。
「祖母や母は『敬意』と『規律』にはとても厳しかった。年長者を敬い、規律を守らなければとても怒られた。いつの間にかそれが自分の一部となり、僕自身も大事にしている。海へのリスペクトにもつながるけど、人や物をリスペクトすることは日本人に限らずポリネシアンとしての誇り」
アイザイアもきっとこんなふうに、伝統を引き継いでいくのだろうな。
☆アイザイア・カイナーファレファ 1995年3月23日生まれ、ハワイ州ホノルル出身。2013年のMLBドラフト4巡目(全体130位)でレンジャーズ入り。18年4月のエンゼルス戦でメジャーデビュー。ユーティリティープレーヤーとして活躍し、短縮シーズンとなった20年は三塁手部門でゴールドグラブ賞を獲得。ヤンキース、ブルージェイズと渡り歩き、24年7月からトレード移籍したパイレーツでプレー。祖母は日本人の日系3世。178センチ、88キロ。












