巨人の長嶋茂雄終身名誉監督が3日に肺炎のため都内の病院で死去。89歳の生涯を終えた。天覧試合での本塁打をはじめ、数多くの伝説を残し、ファンを沸かせてきた球界の大スター。そんなレジェンドが見せていた知られざる「逸話」がある――。

 誰にもまねできず、予想すらできない数々のエピソードを残してきたミスター。親子で後楽園球場に野球観戦に訪れた際には、試合に夢中になったあまりに長男の一茂氏を球場に置いて帰宅したり、訪米時には「アメリカは外車が多いな」「アメリカの子供は英語がうまいな」などと仰天コメントを残したことも…。さまざまな〝面白エピソード〟でもファンに愛されてきた。

「長嶋さんは『長嶋茂雄』というキャラクターを演じていた部分もあるのでは」と振り返る球界関係者も多い。そうしたスポットライトの裏側においてもミスターは「ミスター」であり続けていたようだ。

 1990年代後半の長嶋巨人を追いかけていた熱狂的女性ファンの1人は、こう明かす。「長嶋ファンだった私は当時〝追っかけ〟をしていたんですが、広島に応援に行った際に、偶然エレベーターで長嶋さんと一緒になったんです」。ただし「奇跡」は、これで終わりではなかった。

 大スターを突然目の当たりにし、言葉が出ずに立ち尽くしていたところ「長嶋さんの方から『あなたたち、巨人ファンですか?』と聞いてきてくれて…。『はい、そうです』と答えると、今度は『明日の試合のチケットはもう持っているの?』と。『まだ取れていないんです』と返したら『それならチケットを用意しておくから、受付に僕の名前を言って入っておいで』と言ってくれたんです」。

 驚くべき〝神対応〟にも「さすがに冗談だろうな」と半信半疑のまま、その女性ファンは翌日球場に行った。恐る恐る受付で「長嶋さんの名前でチケットを用意していただいてるみたいなんですが…」と尋ねると、しっかりと人数分のチケットが用意されており、滞りなく試合を観戦することができたという。

「こんなことあるの? というぐらいにビックリしましたね。本当にありがたかったですし、今でも忘れられない最高の思い出です」と前出のファン。その後は直接お礼を伝える機会もなかっただけに、この日の訃報には「悲しいです」と深く肩を落とした。

 グラウンド外の舞台裏でも「長嶋茂雄」であり続けた〝ミスタープロ野球〟。十人十色の思い出が、多くのファンの記憶に今も刻まれている。