プロ野球・巨人の長嶋茂雄終身名誉監督(享年89)は「第10回ビートたけしのエンターテインメント賞」の賞に選ばれ、2010年2月、都内のホテルで開催された授賞式に出席した。ステージではタレントのビートたけし(78)との豪華共演が実現。数々の〝ミスター語録〟が明かされていた。

 長嶋さんは「第19回東京スポーツ映画大賞」と同時表彰の「第10回――」の授賞式に出席した。受賞したのは「50周年特別賞」で、これは東スポ創刊50周年を記念した賞。長嶋さんが東スポ創刊号の1960年4月2日付紙面で1面を飾ったのをはじめ、話題を提供し続けた功績を受けての受賞だった。

「(受賞の)お話をいただいて以来、この(授賞式の)日を楽しみにしておりました。東スポには現役のころから大変お世話になりました」

 授賞式にはライトグレーのスーツ姿で来場した。当時74歳。04年に脳梗塞で倒れ、リハビリを続けていた身だ。それでも、割れんばかりの拍手の中、たけしとガッチリと握手をかわした。

 子どものころから長嶋さんの大ファンを自認するたけしからはステージ上で、次々と爆笑秘話が明かされた。

 たけしが86年、フライデー事件を起こした半年後、長嶋さんは「たけしさんはボクのファンだから誘ってあげようか」とゴルフに誘ったという。

 実際にゴルフ場で対面すると、長嶋さんは「あ~たけちゃん、誰とゴルフですか?」とたずねてきて、「あっ、ごめんごめん。誘ったのはボクだったけ」とかました。

 ゴルフ関連での思い出はほかにもある。長嶋ファンでもあるゴルフ場の地元農家から、長さ1メートルはゆうにある長いもをプレゼントされたそう。長嶋さんは「あ~どうも。ありがとう」と感謝しつつ、長いもをポキポキとためらいなく折ってクルマのトランクに投げ入れたという。長嶋さんはステージ上で頭をかき、〝それは違うよ〟とばかりの仕草を見せた。

 ゴルフの後に長嶋さんはたけしとともに都内のふぐ料理店へクルマで向かった。長嶋さんがその道中、運転手に「今のところ、左折だった」と告げたため、クルマはUターン。道を戻ると、「そうそう。ここを左折」と言った。

 たけしはステージ上で「戻ってきたんだから右折だろって」と笑った。球界と芸能界の2大巨頭の秘話に会場は爆笑に包まれた。

日米野球サミットチャリティーゴルフで共演する(左から)長嶋茂雄、小柳ルミ子、ビートたけし
日米野球サミットチャリティーゴルフで共演する(左から)長嶋茂雄、小柳ルミ子、ビートたけし

 長嶋さんは授賞式後、「楽しかったよ」と話し、たけしから暴露された話には「懐かしいな」と目尻を下げた。フライデー事件後にゴルフに誘ったことには「たけしさんが(落ち込んで)かわいそうだと思ったんだよ」とニッコリ。ミスターの優しさだった。

 たけしは3日、自身の公式サイトで追悼コメントを発表した。

「いずれこの日が来るとは覚悟していたが、実際にそうなってみると気が抜けた感じがしてしょうがない」と胸中を吐露。「長嶋さんは、同じ時代を生きた神のような存在だった。物心ついて野球に目覚めてから数十年、ファンという感情以上のあこがれを持っていたし、その存在をずっと意識し、活躍にいつも励まされる思いだった。本当にショックだ」とした。