セ首位の阪神は29日のDeNA戦(甲子園)に1―5で完敗し、連勝が3でストップ。上位4チームが2・5差内にひしめくダンゴ状態から一歩抜け出すチャンスをまたも逃した格好だが、5月はここまで月間13勝9敗1分けと、堅実に貯金を積み重ね続けていることも忘れてはならない。大型連勝がない代わりに大型連敗もなし。「一歩下がって二歩進む」のリズムに乗せて〝一四三歩のマーチ〟を地道に歩き続けている――。
勝敗を分けたのは紙一重のジャッジだった。先発のデュプランティエは、6回まで牧のソロアーチによる1失点のみにベイ打線を封じていたが、1―1の同点で迎えた7回に連打と四球で二死満塁のピンチを背負う。ここで対峙したのは代打・宮崎。フルカウントから投じた6球目は、低めのコースギリギリを突くスライダーだった。
だが球審に無情にもボールと判定され、痛恨の決勝押し出し四球。フレンドリーなキャラクターで愛される虎の好漢も、この瞬間ばかりはマウンド上で不服そうな態度を隠すことができなかった。
試合後の藤川監督も「素晴らしいボールでしたね。(ストライクともボールとも)どちらともとれる1球でした」と言葉を選びながら悔しさをにじませる。2位・巨人とのゲーム差はわずかに1。星のつぶしあいばかりが続く混セから、抜け出せそうで抜け出せない日々が続く。
投打で極めて順調なチーム状態とは裏腹に、思うように勝ち星を伸ばし切れていないようにも見える藤川虎。それでもここまで首位の座を守り続けることができているのは、チームの確かな地力があってこそだろう。5月2日から数えて、今月ここまで8つの対戦カードを消化したが、2勝1敗の勝ち越しは5つ。加えて2勝0敗の勝ち越しが1つ。同一カード3連勝は1つもないが、地道なペースで貯金を積み重ねている。
大型連勝を嫌ったのは現指揮官の恩師に当たる、岡田彰布前監督(現オーナー付顧問)だった。チームを38年ぶりとなる日本一へ導いた虎の知将の持論は「連勝が伸びれば伸びるほど、勝ちパターン継投陣への負担が際限なく増え続け、後々の致命的な失速や反動的な大型連敗につながる」。勢いに任せた派手な勝ち方ではなく、地道な〝普通の野球〟を継続し、コツコツと勝ち星を積み重ねていくことの重要性を繰り返し説き続けていた。
バウアー、ケイ、ジャクソンと力のある先発投手を3枚立て続けに当てられた今カード3連戦で、虎打線が挙げることができた合計得点はわずかに「3」。それでもカード第1戦&第2戦を1―0の辛勝で立て続けにしのぎ、貯金を1つもぎとれた意義は大きいだろう。
チームの心臓でもある石井、及川、湯浅、岩崎ら勝ちパターン継投陣への負担を極力抑えることができたことは、次戦への隠れたアドバンテージにもなる。シーズンは3合目を越えたところだが、藤川虎の試合巧者ぶりが徐々に際立つ形になってきた。












