【取材の裏側 現場ノート】阪神・及川雅貴投手(23)が11日の中日戦(甲子園)の6回に2番手として救援登板し、1イニングを3者連続三振でねじ伏せるパーフェクトリリーフを披露。不安定なゲームの流れを断ち切る力強い投球で、6―3の勝利に貢献した。
セットアッパーとして期待されていたゲラの離脱などもあり、中継ぎ陣全体が若干不安定な中、背番号37は開幕から7戦連続で自責0。投打のヒーローが数多く出た一戦だったが、試合後の藤川監督も「本当に素晴らしい投球だった」と真っ先に及川の名を挙げて称賛した。その上で「これを本物にしなければならない。投手コーチたちもそう願っている」とも述べ、今後もゲームの重要な局面で起用していく考えを示唆した。
春季キャンプ中からとにかく状態が良かったことを覚えている。2月中旬のある日の昼下がり。チームとしては珍しく午後の〝おかわりブルペン〟を許可されていた及川の投球は、素人目から見ても抜群の出来。力感十分の直球とブレーキが鋭く利いた変化球が、構えられたミットの位置に寸分違わず吸い込まれていく度に、ブルペンキャッチャーやコーチ陣も感嘆の声を上げ続けていた。
たまたまその場に居合わせていた〝ガチ玄人〟の目すら点になっていた。「すいません。あの左、誰ですか? なんて名前?」。人気もまばらなブルペン前の記者席最前列で、及川の投球を独りで食い入るように眺めていたのは中日OBの荒木雅博氏だった。
「高卒6年目の及川って選手ですよ。横浜高出身の」と教えると「すごい球投げるよな…。あんなん絶対打てねえよ…」と絶句。現役通算2045安打をマークした、竜黄金期不動のリードオフマンの呆気にとられた表情が何とも印象的だった。
入団以降、どちらかと言うと「無名の便利屋」的な立ち位置に甘んじ続けてきた左腕だが、今やチームにとって欠かせぬ戦力へと成長しつつあることは明白だ。及川雅貴の四文字が全国に轟く日もそう遠くない。「あの左、誰?」なんてセリフを聞くことも、もうできなくなるはずだ。(阪神担当・雨宮弘昌)













