タイガース、上から見るか。それとも横から見るか――。阪神は10日に予定されていたヤクルト戦(甲子園)が降雨のためノーゲーム。強烈な雨にたたられた格好の藤川球児監督(44)も「まあまあ、また明日起きてゲームを一からつくれれば。みんな頑張ってくれるでしょう」と手短に会見を切り上げ、球場裏へと姿を消した。

 チームは前週末の巨人3連戦(東京ドーム)で痛快な敵地スイープを決めたばかりだが、今カードは継投策の失敗なども響き2連敗。開幕11試合消化時点で本拠地勝利にまだ恵まれていないこともあり、虎党たちからの風当たりは日に日に強くなっている。

 チーム不動のクローザーとして積み重ねてきた輝かしい戦績とカリスマ性。大きな評判を呼んだ理知的なテレビ解説も含め、藤川監督は就任直後から周囲からの期待値が高かった。だが、そんな新指揮官からしても「猛虎の将」という日本球界屈指の過酷な職業は容易ではない。前週末までは称賛されていたタクトも、たった2つの敗戦で虎党たちから手のひらを返されてしまうのだから大変だ。

 理詰めの野球観と白刃の下で鍛え上げてきた実戦勘は、もう間もなく本格的に発揮されるはずだ。解説者と指導者を双方経験したキャリアを持つ球団OBは「スタンド上にある解説者席と、グラウンド横にあるベンチからでは野球の見え方がそもそも違う。選手の調子や、ゲームの流れのようなものもね。コーチ経験がなく、いきなり監督業を引き受けることになった藤川監督は今、そのギャップを埋めているところなのだろう」と元同僚を擁護。「もう少しだけ現場指揮官としての場数を踏めば、これまでの経験が一気に生きてくるはず」と間もなくやってくるであろう〝覚醒の瞬間〟に期待を寄せる。

 一方の藤川監督自身も「監督という任を引き受けたその日から私(わたくし)というものはない」と言い切り、今は自身の職務に没頭している。チームは5勝5敗1分けの勝率5割。何かと不安定なシーズン序盤の戦いをボチボチ状態で乗り切れているのなら、今はもうそれだけで御の字だ。