笑顔は一切なかった。ソフトバンクの主砲・柳田悠岐外野手(36)が29日のロッテ戦(みずほペイペイ)で今季1号を放った。試合は延長10回の末、4―5で惜敗。チームはダイエー時代の1992年以来33年ぶりの開幕連敗スタートとなった。笑顔なき1号に、精神的支柱とされる男の責任感がうかがえた。
開幕戦に続いて「3番・指名打者(DH)」で出場。2点を追う5回二死一、二塁で初球のスライダーを強振すると、右中間テラス席へ叩き込んだ。先発・大関が5回二死から3ランを被弾。ベンチに戻って肩を落とす左腕を救った直後の〝3ラン返し〟は、チームの士気を高める強烈な一撃だった。だが、試合はリードを守れず、2戦連続の逆転負け。当然ながらチームには重たい空気が漂った。
試合後、柳田は多くを語らなかったが、表情や声のトーンから悔しさだけが伝わった。開幕2試合目、7打席目の一発にも「出ないよりは…。でも、試合に負けてますし、勝たないと意味ないです」と絞り出すように話した。4―4の8回、先頭の2番・近藤が安打で出塁。「あそこで一本つなげれば…。あそこじゃないですかね」。続く柳田は二併殺に倒れ、4番・山川も三振。勝敗を背負う男らしく、すべてを受け止めたかのようだった。
チームを勝たせたい、若い選手がグラウンドでのびのびプレーできる環境をつくりたい――。チームの苦境では〝傘〟となり、矢面に立ってきた。昨季は5月末に負傷離脱。だが、3・4月度の月間MVPを獲得し、開幕ダッシュをけん引した立役者だった。
昨秋にリーグ優勝を決めた際、選手会長の周東佑京内野手(29)はしみじみと語っていた。「なんだかんだ柳田さんなんすよね、流れをつくったのは。若手もいい雰囲気で野球ができるから、芽を出す。いなくなってすごい不安だったけど、いなくなるまでの〝貯金〟で、僕らの背中を押してくれた」。主軸としてチームの好循環を生み出す自覚もあるだけに、柳田本人も歯がゆい。
言葉数は少ないが、大きな背中で語れる男。その姿に仲間たちがついていく。「柳田のチーム」と言われるゆえんだ。悔しさをにじませる大黒柱を見て、チームは決起するしかない。











