まだまだやり残したことがある――。女子プロレス「スターダム」の前ワールド王者・中野たむは3日の後楽園大会で行われた現王者・上谷沙弥(28)との〝敗者退団マッチ〟で痛恨の敗北。これで退団かと思われたが、上谷から〝ラストチャンス〟として4月27日の横浜アリーナ大会で「敗者即引退マッチ」を提案されるまさかの展開で、わらにもすがる思いで受諾した。大会後に明かした中野の心境とは…。

試合後、涙を浮かべながらコメントする中野たむ
試合後、涙を浮かべながらコメントする中野たむ

 1635人の観衆が詰めかけた世紀の一戦は、まさに激闘だった。

 互いに退団をかけただけに両者は一歩も譲らない展開が続いたが、中野は上谷のセコンドに介入されてパイプ椅子で殴られると悶絶。最後は旋回式スタークラッシャーからのカミゴェ式ビッグブーツをくらい、3カウントを献上した。

 試合後には上谷から「私はまだやりたりない。最後に1つだけチャンスをあげようか? 次は何をかける?」と慈悲の心を見せられた中野は「アンタを倒すチャンスがもらえるなら、全部ささげてもいい。引退をかける」と涙を流して懇願。衝撃的な展開に観客は騒然とした。

 その後、取材に応じた中野は「本当に自分がみじめでかっこ悪くて、誰にも顔向けできないぐらいぶざま。だけど私にはもうこれしかないから、上谷の情けにすがるしかない。私の覚悟の証明として、4月27日に私の全てをささげます」と語った。

 中野は2017年11月にスターダムに入団してから約7年半、そのリングで数々の死闘を生み出してきた。プロレス人生の全てをかけてきたからこそ、引退をかけるという決意に至った。「もちろん、今日自分が負けたらスターダムから消えようとは思ってた。でも正直、スターダム以外でプロレスをやるつもりは1%もない。もしWWEから『25億で契約してくれ』って言われても、私は行かない。それくらいスターダムでのプロレスに全てをささげてきたから、あとは引退しかない」と悲壮な覚悟を明かす。

バックステージでコズエンの仲間から心配される中野たむ(右)
バックステージでコズエンの仲間から心配される中野たむ(右)

 もちろん、まだまだやり残したこともある。「玖麗(さやか)やさくら(あや)のことも心配だし、赤いベルトも3回目戴冠するって約束もしたし、IWGP女子も巻いてない。あと、スターダムで東京ドーム大会をやるっていうのも、スターダムを世界一にするっていうのもジュリアと約束した。引退するわけにはいかない。私は約束を守る女なので」と言い切った。

 決戦の地となる横浜アリーナは、23年4月に中野がジュリアを破り、初めてワールド王座を戴冠した地でもある。「ものすごい景色だったんです。1万人動員して、たむが上谷を泣かしてる姿を見せてやる。地獄に落とされてからが中野たむの真骨頂ですから。私はくじけない」

 中野の逆襲劇は終わらない。