巨人の阿部慎之助監督(45)がリーグ連覇と13年ぶりとなる日本一に向け、虎視眈々と牙を研いでいる。昨季、戦前の下馬評は阪神の連覇を予想する声が圧倒的だったが、2年連続Bクラスから就任1年目で4年ぶりのリーグ優勝に導いた。そんな中、球団OBで本紙評論家の前田幸長氏は、Gナインに新たな風を吹かせることに成功した指揮官の〝予言〟の真意を直撃した。
【前田幸長「直球勝負」】今回、巨人の春季キャンプ点検はもちろんだが、阿部監督への〝謝罪〟も兼ねて沖縄・那覇キャンプを訪問した。昨年も訪れた際、2年連続でBクラスに沈んだ原前監督からバトンを受けた重圧は計り知れず、戦力的にもそこまで上積みは感じられなかったため、正直Aクラスに入れるかどうかぐらいだろう思っていた。
当然、そんなことは口に出さず胸の内にしまっていたが、フタを開ければ有言実行のリーグV。さすがの阿部采配に昨年のキャンプで思っていた予想を正直に伝えて「申し訳なかった」と頭を下げた。それと同時に思い出したのが「呪縛が取れたら勝てます」という新指揮官のひと言だった。
原前監督は指揮を執った通算17年間で、2度の3連覇を含む計9度のリーグ優勝、日本シリーズも3度も制覇。その偉大な功績に尊敬の念を持っている阿部監督だが、ある方針を貫こうとした。原前監督の実績が偉大過ぎ、選手たちが畏敬の念を抱き過ぎていた思いを何とか変えようとした。
阿部監督は、とにかく選手たちが首脳陣の顔をうかがって野球をやることは避けたかったようだ。巨人に限らず、選手は練習中も常に首脳陣の顔をチラチラ見たり、何を話しているのか聞き耳を立てて、気になってしょうがないもの。それをなくして風通しをよくしようとした。
一昨年のシーズン中も盗塁に関して走者の判断に委ねる「グリーンライト」を与えていた吉川が失敗してアウトになると、首脳陣に怒られたのか、それ以降、プレーが萎縮してしまったように映った。
それを阿部監督は、グリーンライトを与えているいないにもかかわらず、盗塁はこっちの責任なんだから「アウトになってもいいからもう行けよ、と。そう言ってあげないと動けない。それはもうどんどん言ってます。それでアウトになってもいいじゃん」と吉川らに伝えているようだ。
1年目でフレッシュな立場だからこそ選手目線で言えたことかもしれない。そうした阿部流の方針が徹底され、昨季は吉川を含めた選手たちが首脳陣の目を気にせず、伸び伸びとプレーし、リーグVにつながったというわけだ。さすがのマネジメント能力を発揮した阿部巨人の今季の躍進も楽しみだ。
(本紙評論家)












