再建を託された元エースの覚悟とは――。歴史的大敗による3年ぶりのリーグ最下位から再浮上を目指す西武・西口文也新監督(52)を本紙専属評論家の伊原春樹氏が直撃した。現役21年間をライオンズ一筋で過ごし、182勝を挙げた「獅子のエース」が満を持しての監督就任。伊原氏は新監督の覚悟を受け止めた上で、フロントに異例の〝要望〟も出した。
【新鬼の手帳・伊原春樹】やはりここを訪れないわけにはいかないだろう。私にとって古巣である西武が昨季49勝91敗3分けと歴史的な大敗を喫し、西口監督がチーム再建を託された。最初に西武の監督を務めた2002年時のエースだった〝ニシ〟がどうチームを立て直すのか。この目で確認するため宮崎・日南市南郷へ足を向けた。
新監督としての心構えを聞くと「もしも伊原さんが今、コーチをやっていたらパワハラで訴えられますよ」と笑顔で返ってきた。一、二軍の投手コーチ、ファーム監督として7年間指導してきた指揮官の配慮がうかがえた。
投内連係練習で目立っていたのは新任の鳥越裕介ヘッドコーチ(53)と仁志敏久野手チーフ兼打撃コーチ(53)。さらに大引啓次内野守備・走塁コーチ(40)と〝西武外〟から3人が加わった。加えて私も人柄をよく知る立花義家打撃コーチ(66)が復帰した。
コーチの選任については「全員ではないですよ」としながらも、ある程度は希望も通ったそうだ。長いペナントレースは晴れの日ばかりではない。監督として戦っていく上で脇を固めるコーチ陣との信頼関係は、何よりも大事になってくる。
課題は何と言っても得点力不足だ。手塩にかけて育ててきた投手陣はコマがそろっている。西口監督は「セカンドはちびっこ軍団で。若いヤツでいきます」と外崎修汰内野手(32)を三塁にコンバートすることでチーム内競争を活性化。戦力の底上げを図るという。
球団も前オリックスのレアンドロ・セデーニョ内野手(26)を獲得したとはいえ、ライバル球団と比べればやはり心もとない。「これで思う存分、戦ってこい」と指揮官に十分な武器を持たせたとはいえないだろう。
西武フロントに強く言いたいのは、腰を据えて西口監督を見守ってほしいということだ。身近なお手本がある。日本ハムの指揮官として4年目に突入した新庄監督だ。就任から2年連続最下位でも首にせず任せたことで若手が成長し昨季リーグ2位へと躍進した。
背広組が腹をくくる必要がある。新監督は複数年契約を結んだというが、昨季に松井稼頭央前監督(49)を2年契約途中の5月で切ったあしき前例がある。フロントがドタバタしては何より選手を「この監督についていって大丈夫なのか」と不安にさせてしまう。
チーム再建とは1、2年で、いきなり結果が出るものではない。フロントと現場が一枚岩となり新監督を全面的にバックアップする必要があるだろう。
(本紙専属評論家)












