オカルト評論家・山口敏太郎氏が都市伝説の妖怪、学校の怪談、心霊スポットに現れる妖怪化した幽霊など、現代人が目撃した怪異を記し、妖怪絵師・増田よしはる氏の挿絵とともに現代の“百鬼夜行絵巻”を作り上げている。第204回は「たんつぼ婆」だ。
昭和の頃に報告されていた懐かしの妖怪である。駅に設置されたたんつぼにストローを持って近づく老婆がいる。その老婆はストローをたんつぼに突っ込んで吸い取ってしまうのだ。中には、白いごはんを持ち歩き、たんをおかずにしてご飯を食べる婆もいた。考えるだけで、ぞっとする妖怪である。
この妖怪の元ネタは、ラジオ番組「スネークマンショー」のアルバムであると思われる。中高年の方ならお分かりだろうが、あの気味の悪い音源から都市伝説が生まれた可能性は十分にあり得る。
また、似たような奇行に走る老婆が実在した可能性もあり得る。そういうモデルを見た人たちがうわさを拡散し、強化していったのではないだろうか。
なお、駅に設置されていたたんつぼは最近全然見なくなった。これはもともと明治37年に出された“痰壷条例”に基づく政策であったが、結核があまり報告されなくなったこともあり、徐々にその姿を消していった。人間がたんを吐く原因であった大気汚染が改善されたことも挙げられる。
また、人前でたんを吐く行為が、下品な行動であるという認識も広がることにより、たんつぼは姿を消していったのであろう。












