史上最年少の24歳10か月で全日本プロレスの3冠ヘビー級王者となった安齊勇馬(24)が、賛否を呼んだ中嶋勝彦(36)戦後の苦悩を告白だ。3月30日大田区大会の同王座戦は大逆転勝利を収めたが、あっけない幕切れが批判も呼び〝史上最弱の3冠王者〟とまでやゆされた。試練のスタートとなった若武者は、ここからどんなチャンピオン像を描くのか――。
波紋を呼んだ3冠戦から2日後、都内の事務所で会見に臨んだ安齊の表情は険しかった。試合では中嶋に終始圧倒され、最後の最後にジャンピングニーからのジャーマンで勝利。グロッギー状態の安齊に対し、敗れた中嶋は何ごともなかったかのように立ち上がってリングを後にしたことから、一部ファンから新王者にブーイングまで起こる異例の事態になった。
安齊は「何が何でも全日本にベルトを取り返す。勝ち方は何でもいいから、とにかく勝たなくちゃダメだという一心でした」と試合前の心境を振り返る。その思いが通じ、猛攻を耐え抜いてから一瞬の隙を突いて3カウントを奪ったものの、直後に会場を包んだ想定外の雰囲気に「正直、僕としては混乱が大きかったです」と顔をしかめた。
至宝戴冠は苦悩の始まりとなり、前夜も午前4時まで寝つけなかったという。「こういうことを言っていいか分からないですけど、これからを考えてちょっと不安になったというか。エゴサ(自分の名前をネットで検索)をすれば賛否の『否』の方が多いくらいだったんです。いろいろ『史上最弱の3冠王者だ』とか『巻かせてもらった王者だ』とか書かれていて…。そこで王者たるものというのを考えました」
だが、前王者の猛攻を20分以上受け続けても折れなかった心は、こんなことでくじけることはなかった。「逆に言えばもう登るだけなんですよ。吹っ切れたっていうか。ここから手のひら返しさせる…じゃないですけど『安齊はこんなもんか』って思った人を覆していけばいいだけなので」と拳を握る。そして「それができないなら、しょせん僕がそれだけだったということです。僕は僕の可能性を信じているので、どんな険しい道のりだとしても前に進むだけですよ」と覚悟を決めたように前を見据えた。
今回の一件で「王者が求められるのは勝つことだけじゃない。内容でも王者としての立ち振る舞いで勝たないといけない」と痛感。それを当たり前のように行っていた歴代王者に対する尊敬の念が深まった。「僕はこの3冠ベルトとともに成長していきたいと思います」。王道マットを大混乱に陥れた「中嶋勝彦」という〝劇薬〟も飲み込み、若き王者はさらなる進化を遂げてみせる。












