新日本プロレスの後藤洋央紀(44)が、18日の「NEW JAPAN CUP(NJC)」準決勝(郡山)で前年度覇者SANADA(36)を撃破し、決勝戦(20日、新潟・アオーレ長岡)進出を決めた。実に12年ぶり4度目の優勝に王手をかけた男を突き動かすのは、1月末で退団したオカダ・カズチカ(36)の存在だ。CHAOSの元盟友が導いてくれた「混沌の荒武者」を、8年がかりの物語で完成させる。

 連覇を狙うSANADAの猛攻にさらされた後藤は、デッドフォールを阻止するとGTWで反撃に転じる。そのまま必殺のGTRで3カウントを奪い、通算4度目の優勝に王手をかけた。今年の決勝戦は史上最年長優勝記録(永田裕志の42歳10か月)更新を狙う後藤と、世代交代の中心を名乗る辻陽太(30)の組み合わせとなった。

 2016年大会以来8年ぶりに決勝の舞台にたどり着いた事実は、後藤にとって大きな意味を持つ。準優勝に終わった8年前、オカダの勧誘を受けCHAOSに加入。いまだに悲願の団体最高峰王座には手が届いていないが、環境の変化は成長につながった。

「あそこで入ってなかったら、間違いなく行き詰まっていたでしょうね。自分はこうでなきゃいけないっていうものが強すぎたんです。入ってからは本当に自由で、もともとバカでしたけど、もっとバカになれた。本当の自分が見えてきたというか」

2月札幌大会でオカダ(左から3人目)と惜別の〝盃〟をかわしたCHAOSの面々
2月札幌大会でオカダ(左から3人目)と惜別の〝盃〟をかわしたCHAOSの面々

 恩人でもあるオカダが団体を去って初めて迎えるNJCだからこそ、8年前に用意された転機からの答えを出すつもりだ。「オカダを超えるために入って、超えることはできなかったけども、それ以上のものをもらった。そのCHAOSを守っていくためにも勝たなきゃいけない」と優勝という形での恩返しを誓う。

 NJCを制すれば4月6日の東京・両国国技館大会でのIWGP世界ヘビー級王座挑戦権が手に入る。くしくも現王者は、8年前のNJC決勝戦で敗れた内藤哲也。「NJCを勝って内藤からベルトを取ることが、自分がCHAOSに入ったことで変わった部分を見せる意味では一番いい形だと思う」と、何やら運命じみた巡り合わせに闘志を燃やした。

 オカダは米AEWに主戦場を移した。後藤は「ステップアップなんでしょうし、素晴らしいことだと思う。でもプロレスを続けていれば、また交わる時が来ると思っているので」と将来的な再会を見据えつつも「むしろこっちの情報を向こうに入れたいですよね。頑張ってるんだ、ということが伝われば安心するんじゃないですか?」と、海の向こうに吉報を届けるつもりだ。

 2月に死去した父のためにも優勝を誓う荒武者。臥薪嘗胆の末に、頂点をつかみ取ることができるのか。