【元局アナ青池奈津子のメジャー通信】「どうしてバケットハットをかぶっているの?」「ああ、僕はどうやら間違ったスポーツをずっとしてきたのかもしれない」
忘れもしない。ミゲル・ロハス(以下、ミギー)と昨年初めて交わした会話だ。青地に白でドジャースのロゴ「LA」が入ったバケットハットに蛍光グリーンのシューズを履き、グラウンドの片隅にいてもやたらと目立ちながらリズム良くゴロ捕球の練習をしていたミギー。そもそも各球団公式のバケットハットがあることをこの時初めて知ったのだが、何事にもしっかり理由を持つミギーは柔らかい物腰でも、こちらの目をじっと見据えて意味ありげに続けた。
「野球帽は硬いから嫌いなんだよ」
その時の真顔を思い出すと、今でも笑えてしまう。本人もすぐに笑ったが、実際に幼いころから野球帽が苦手で「試合中の9イニングで十分!」と打撃練習でも違う帽子をかぶるか、かぶらないことも多い。かぶっても帽子のつばを後ろ向きにしたりするのだという。結構本気で髪形が崩れることが嫌らしい。
「良い格好をしていると、良いプレーができる。僕はそれを信じているんだ」
だからこの日の練習中のサングラスとグラブにも、靴とおそろいの蛍光色を入れていた。
「スタイルの基本は靴。僕は(ナイキの)ジョーダン(シリーズ)に目がないんだ。スパイクはジョーダンをカスタマイズしたものを履いている。少し重いから本来は野球に向かないのかもしれないけど、僕にとってはしっくりくる。打撃練習中もジョーダン」
冒頭の「間違ったスポーツ」と言ったゆえんはここにあった。野球大国ベネズエラ出身ながら、バスケットボール選手になることを夢見て育ったミギー。大リーガーになって、金銭的に少し余裕が出てきたら自分へのご褒美はナイキのジョーダンシリーズ、レトロバージョンのコレクションを増やしてきた。
「何でもかんでも買うわけじゃないよ。あくまでも自分が履きたいと思うフィーリングが大切。ちゃんと履いてあげることもね」
最近では「友人らは僕のそういうスタイルを受け入れてくれているから」と革靴を買うのもやめ、結婚式もジョーダンで出席するそう。昨春の時点で「180足ほど」と言っていたので意外にも多くはないと思ったが、それでも引っ越しとなると話は別だ。
ミギーは専用のクリアケースに入れた壁一面のシューズコレクションの写真を見せてくれながら「少し前に新しい家に引っ越したんだけど、心配だったから靴はUホール(レンタルトラック)を借りて全部自分で運んだんだ。大変だった!」と熱弁を振るった。
さらに大変だったのはドジャースにトレードされた時で「ロスに靴を全部持ってくるわけにいかなかったから、すごくすごく厳選して26足。さすがにケースごとは持って来られなかった」。ホームシックならぬ“シューズシック”になることもあるのだそうだ。
今では「スタジアム・カスタム・キックス」というカスタムシューズメーカーとタッグを組み「ミギーズ・ロッカー」で自分のデザインシューズも展開しているミギー。パッと目を引く明るいシューズが多いので、そんな彼の野球ファッションもぜひ楽しんでほしい。
☆ミゲル・ロハス 1989年2月24日生まれ、ベネズエラ出身。2012年11月にドジャースと契約し、14年6月のロッキーズ戦でメジャーデビュー。同年オフにマーリンズにトレード移籍し、23年に再びトレードでドジャースに加入した。遊撃を中心に堅実な守備を誇り、140試合に出場した22年はリーグ最高の守備率9割8分7厘をマークした。183センチ、85キロ。












