虎将の逆りんに触れた。阪神・湯浅京己投手が23日に行われた巨人戦(那覇)の7回に5番手として救援登板するも、1回4安打1四球2失点の大乱調。実戦で思うような姿を見せられぬままの右腕に業を煮やした岡田彰布監督(66)は試合後、春季キャンプ最終盤という時期にもかかわらず背番号65の二軍降格を即断した。投打ともに充実した戦力をそろえ、球団史上初となる連覇を狙う猛虎だが、春の生存競争はここからいよいよ厳しさを増していくことになりそうだ。

 自身の最大の武器であったはずの直球は右へ左へと次々にはじき返された。立ち上がりから3連打を浴びた湯浅は、あっという間に満塁のピンチを背負うと一死から中田に2点中前適時打を献上。制球面でも精彩を欠いた右腕は試合後に「指先の感覚は悪くない。あとは下半身が使えてくれば良くなってくると思う」と前を向いたものの、その一方で失望を隠すことができなかったのが岡田監督だ。

「明日から二軍よ。当たり前やんか。投げてる最中に言うたわ。いろんな面でやり直さなアカンのちゃうか? 時間はかかるやろな。だってオマエ、去年より悪いやんか。ボールの走りもWBCから帰ってきたときより悪いよ」

 昨年の日本シリーズでは、後に「湯浅の1球」と呼ばれる貴重な出番を与え、再生への足掛かりをお膳立てした。キャンプイン前から「最大の補強は湯浅の復活にある」とまで公言。その能力を認め、大きな期待をかけてきたからこそ、語気は強まる一方だった。

「だってずっと言うてるやんか。そらオマエ、ブルペン見たら分かるやん。ずっと言っとるで。キャンプの初日から。ピッチャーはブルペンのボール見たら分かるやんか。たまたま広島戦(18日、コザ=練習試合)では二軍みたいなメンバー相手にボール球ばっかで抑えたけどな」。春季沖縄キャンプは残すところあと4日。この時期に選手を二軍組へと降格させる措置は異例と言っていいだろう。

 阪神の中継ぎ陣は12球団屈指の陣容を誇る。左腕では岩崎、岩貞、島本、桐敷の4人それぞれが充実した仕上がりを披露。右腕組も加治屋、石井の昨季実績組に加え、大卒3年目の新鋭・岡留も台頭。新外国人のバビー・ゲラ投手(28=前レイズ)も上々のアピールを続けている。守護神の座へ返り咲くことを固く誓う湯浅だが、現状では開幕一軍メンバー入りすら危うい状況だ。

 敵情視察に球場を訪れた他球団関係者は「これだけ中継ぎ陣の競争が激しいチームなのだから、湯浅の降格即断は妥当な選択。ここで引き締めないとチーム内の競争力が弱まってしまうわけですから。湯浅も二軍で自分を見つめ直すいい機会になると思う。岡田さんの手腕もさすがですよね」と敵将の決断の速さに警戒感を強めた。百戦錬磨の老将は、春の緩みが夏の失速と秋の苦杯へとつながることを熟知しているのだろう。