モノが違った。ソフトバンクにFA加入した山川穂高内野手(32)が宮崎春季キャンプの3日、初の屋外フリー打撃で圧巻の放物線を連発。46スイングでサク越え13発を放ち、推定飛距離130メートル級の場外弾2本のおまけ付きだった。「確率が大事。全スイングホームランが理想」という右の長距離砲は、とりわけ狙い打った4連発にご満悦だった。

 週末でにぎわう生目の杜運動公園のスタンドから拍手と歓声が上がった。「とにかくうれしかった」。昨春WBCで世界一に貢献した後、女性スキャンダルが明るみになり、不起訴処分となったが、西武から紆余曲折を経てFA移籍。世間の目は、今なお厳しい。山川の打撃練習を三遊間の位置から見守った小久保監督は「お客さんの拍手に彼は一番救われたんじゃないですか。いろんな思いでホークスのユニホームを着て、初めて屋外のフリー打撃で『これぞプロ』というものを見せつけて、それの評価に対する拍手でしょうから」と思いやった。

打撃練習中にスタッフと会話するソフトバンク・山川(中)
打撃練習中にスタッフと会話するソフトバンク・山川(中)

 新たなスタートを切った山川は「しっかり結果を出すことで、選手、監督、スタッフ、ファンの方に認めてもらうのが一番溶け込める」と語る。真摯に野球に取り組む姿勢とグラウンドの結果こそが、信頼回復の近道。周囲の期待感を膨らませる一日だった。

 尊敬する世界のホームラン王からも温かい言葉をもらった。打撃ケージ裏で熱視線を送った王球団会長は「やっぱり飛ばす力を持っているよね。(打ち損じて)『あー』と言いながらも、いい角度で打球が上がっている。そういう角度をつけられるものを持っている」と絶賛。その上で「繰り返しやることで、自分の確率を上げていくっていうのかな。結果的にああなってるんじゃなくて、ああなるように打てている。だから、天性のもの」。

 王会長が現役時代、自身に求めていた〝打球に角度をつけられる〟才能。打ち損じでさえもゴロではなく、高々と舞い上がる飛球に希少性を感じ取った。弾道を追う王会長の目が輝いていたことこそが、確率や飛距離といった数字以上の真価だった。

 鷹の絶対的主砲・柳田も走塁練習中に何度も空を見上げながら、感嘆の声を上げ「回転のかけ方がすごい。半端ない」と技術の高さに舌を巻いた。チームの顔に「頼もしい」とも歓迎された通算218発、本塁打王3度の大砲。一心不乱に、野球で返していく。