卓球女子の伊藤美誠(23=スターツ)は〝満身創痍〟で戦い抜いた。

 前回の東京五輪では混合ダブルスでの金メダルを含む3つのメダルを獲得。「金・銀・銅」のコンプリートに成功した一方で、パリ五輪に向けては「シングルスで(日本勢)初の金メダルを取って歴史に残したかった」と新たなモチベーションで鍛錬を積んできた。

 ただ、現実は厳しかった。ハードスケジュール下で行われたパリ五輪代表選考レースの過程で腰痛を発症。昨年の世界選手権はケガと格闘しながら8強入りを果たした一方で、その後もケガと付き合う日々を過ごした。

 選考レースの終盤戦だった昨年12月のWTTファイナルは体調不良に苦しんだ。さらには「年始の1月1日に(咳が)ぶり返してしまって、多分肋骨にひびが入ったんじゃないかなという状態になった。息を吸って痛い、寝転んで痛いという感じがあった」と泣きっ面に蜂状態だったという。

 そんな中で迎えた全日本選手権5日目(26日、東京体育館)は6回戦で無念の敗退。今大会の結果を受けて、早田ひな(23=日本生命)に続き、平野美宇(23=木下グループ)もシングルス代表を手中に収めた。不完全燃焼での終戦に伊藤は「やっと2日、3日前に3割ぐらいの痛みになってきて、耐えて耐えて耐えまくろうと思ってはいたが、耐えることはできなかった」と大粒の涙をこぼした。

 目標への扉は閉ざされてしまったが「東京五輪は歴史に残るものをつくり上げたんだなと感じている」。悔しさの残る幕切れとはいえ、伊藤が築いてきた栄光が色あせることはない。