【赤ペン! 赤坂英一】西武からソフトバンクにFA移籍した山川の人的補償が、その後も球界に波紋を広げている。

 正式発表直前の11日、ソフトバンク最大の功労者で、ホークスの顔でもあるベテラン和田を西武が指名した、と一部スポーツ紙が報道。ファンがネット上で一斉に怒りと批判の声を上げている。

 ファンが問題視したのは、和田がプロテクト枠28人から外されていたことだ。ファンの猛反発を鑑みて、西武とソフトバンクが協議した結果、人的補償を甲斐野に変更したとも言われている。

人的補償で西武にも在籍した内海
人的補償で西武にも在籍した内海

 しかし、そんな取引が事実であれば別の問題が生じる。和田ほどの中心選手は人的補償の対象にできないのなら、事実上プロテクトされているのと同じで、28人枠が有名無実化してしまうのだ。

 そこで思い出されるのは2018年オフ、広島から巨人にFA移籍した丸の人的補償に長野が指名されたケースである。翌19年1月7日朝、私は広島の新人合同自主トレとドラフト1位の小園を取材するため、廿日市市の大野練習場にいたのだが、東スポWEBが長野移籍をスクープするや、報道陣が大挙してマツダスタジアムの球団事務所へ移動。松田オーナーや鈴木球団本部長に確認を求める騒ぎとなった。

 実は、人的補償が長野に決まる前、広島はほかにも主力を2人リストアップしていたという。実績も人気も長野に引けを取らないベテランだ。

 この18年オフはエース格だった内海も炭谷の人的補償で西武に移籍。投打の顔が一挙に2人流出し、当時の巨人もファンから猛烈に非難された。

 長野、内海らに加え、ベテラン2人がプロテクト枠から外された背景には、それ以前に次々と有望な若手を人的補償で流出させた経緯がある。

 14年オフ、相川の人的補償で若手内野手一番の有望株だった奥村がヤクルトに移籍。プロ2年目と当時史上最短、19歳と史上最年少でプロテクト枠から外されたのだ。

 16年オフには山口の人的補償で3年目、21歳だった変則右腕の平良がDeNAに流出。その後、先発ローテに入るまでに成長している。これが、巨人のプロテクト方針がベテランから若手に切り替わる決定打になった。

「ベテランを外したのは、長野や内海など巨人のスター選手なら、広島も西武も手を出さないと見ていたからでもある。その辺も甘かった」

 と、当時の事情を知る巨人関係者は苦笑する。さまざまな禍根を残した人的補償、そろそろ改革を検討すべきかもしれない。