強烈な逆風の中で「鷹の山川」が誕生した。西武から国内フリーエージェント(FA)権を行使してソフトバンクに移籍した山川穂高内野手(32)が、19日にペイペイドームで入団会見を行った。4年総額で12億円プラス出来高の大型契約とみられ、背番号は「25」に決定。女性トラブルの問題もあり、紆余曲折を経ての新天地入りは世間の理解を得られづらい状況だが、今後発生しかねない〝人的補償問題〟でさらなる嵐が吹き荒れることが懸念されている。

 重い十字架を背負い、再出発の日を迎えた。山川は5月に強制性交の疑いで書類送検され、8月に不起訴処分。西武から公式戦出場停止処分を受けて、今季は17試合の出場にとどまった。新天地で再びプレーする機会を得た通算218発の大砲は、真摯に野球に取り組むことを誓った。

 会見冒頭で多方面へてん末を謝罪。同時に西武球団への感謝を語り、家族の支えが移籍する決意を後押ししたことを明かした。新天地で迎えるプロ11年目に向けては「マイナスからのスタートになる。1日、1日をこれまで以上に自覚を持ち、責任のある行動をとりたい。新人の気持ちで全力で頑張りたい」と語り、約50分間の会見で笑顔は一切なく終始神妙な面持ちだった。

 球団は女性トラブルを巡る問題について入念な調査を実施。今回の事案が不貞行為に端を発していることを重く受け止めつつも、戦力として評価した上で猛省する山川に「プレー機会を与えたい」(三笠GM)と獲得に至った。

 ただ、世間の厳しい声はしばらく収まらないだろう。獲得が明るみに出る以前から球団には多くの反対意見が寄せられていた。球団としては今後も向かい風を浴びながらの対応が続くことを覚悟している。

「プロテクトリストを提出するタイミング、さらには人的補償が発生する場合に、再びネガティブな声が集まることは想定できる」(球団関係者)

 ソフトバンクは山川を獲得する一方で、西武への「補償」が発生する。山川の今季年俸2億7000万円は金銭または人的補償が必要な「Aランク」とみられる。プロテクト対象は、今秋のドラフト指名選手や外国人選手を除く支配下28人。すでにリストの作成に着手している球団としては、自軍のみならず西武の編成ポイントを分析した上で、現有戦力を可能な限り守ることになる。

 選手層は12球団トップクラスゆえに、有能な選手がプロテクト漏れする可能性は大いにある。球団に高額な実績組を戦略的に外す胆力があるか。そして相手の補強ポイントを読み切れるのか。はたまた、入団年の浅い選手を外す場合にアマ球界への悪影響はないか…。

 ネット上などでは66勝右腕の武田や2年連続100試合以上出場の柳町らの流出を危惧する声もあるが、西武が「人的補償プラス年俸50%の金銭補償」を求めた場合にはソフトバンク側に山川を獲得した〝代償〟が必ず生じる。一方で球界内には西武が「年俸80%の金銭補償のみ」を求める可能性を指摘する声もあるものの、真偽は定かではない。

「しっかりと一歩ずつ踏み出していくことを大事にしたい」と懸命に前を向いた山川。信頼回復への道は険しいが、それは自らが選んだ道だ。