【球界こぼれ話】12月に入り球界では選手の契約更改が進んでいる。今シーズン活躍した選手は球団との交渉後、満面の笑みで報道陣の前に姿を現す。他方、不本意なシーズンを送った選手の表情は総じて暗い。オフの風物詩ともいえるこうした年俸更改の喜怒哀楽。何十年取材してもその光景は変わらない。

 そんな契約交渉だが、ここ数年は球団側と選手がもめる場面が減少している印象が強い。かつては越年交渉も珍しくなく、自費でのキャンプ参加で徹底抗戦した強者もいた。現在の舞台裏はどうなのか。

 先日、某球団の担当者に聞いてみると「あまり表には出ませんが、球団側の提示に不満を抱いてもめる選手は今もいますよ。細かい要望や金額アップを粘り強く訴える選手も結構いますから」とささやき、こう続けた。

「時代とともに選手側の主張する権利が確立してきた影響かもしれませんが、最近は若手でも遠慮なく自らの仕事ぶりを積極的にアピールしてきます。年俸交渉の場なので当然と言えば当然ですが、われわれも選手のプレーは毎試合くまなくチェックしているので査定や評価には自信があります。それでも見えない部分でのチームへの貢献や評価を訴えてくることもある。気は抜けませんね」

 数年前にはある選手がベンチ内での声出しやナインへの鼓舞による貢献度を主張。年俸の大幅アップを要求してきたそうで、この対応には球団側も頭を悩ませたという。

「現場の首脳陣とも話をして、どの程度チームに好影響をもたらしたかを確認しました。確かに声出しなどはチームスポーツでは大事な要素ですが、プロの世界の査定はあくまで試合での結果や数字が中心。アマチュアではないですからね」(前出担当者)

 最終的にその選手の年俸は微増で決着したようだが、人によっては金銭面で折り合わない場合、家族や代理人が交渉のテーブルに加わってくることもあるという。

「昨今の契約交渉が平穏に見えるのは表向きだけ。高年俸選手やベテランなどは何度も下交渉をした上で“一発更改”することもあります。そんな状況を踏まえると今の方が昔以上に選手と球団の攻防は激しくなっているのかもしれません」(同)

 減少傾向と思われた球界の激しい“銭闘”。今も脈々と水面下で受け継がれている。