チームの結束が一段と深まった。アジアプロ野球チャンピオンシップ(東京ドーム)が16日に開幕。井端弘和新監督(48)率いる侍ジャパンは台湾に4―0で勝ち、初陣を飾った。7回に3番・森下(阪神)が、小園(広島)の盗塁失敗の直後に不穏な空気を吹き飛ばす殊勲の決勝弾。投手陣が相手打線を3安打に封じ、日本らしい投手中心の守り勝つ野球で白星スタートを切った。

 大事な初戦は攻撃陣が5回まで台湾の本格派右腕・グーリンの前に一人の走者も出せなかった。苦境を耐え抜き、6回以降に10安打。チーム力が試される展開で井端チルドレンが地力を示し、今後の成長につながる価値あるゲームだった。

 令和のリーダーらしい「井端流マネジメント」で、チームの結束を深めてきた。アマチュア球界屈指の厳しさで知られる名門・亜大出身のたたき上げ。プロ入り後は落合政権の中日で鍛え上げられた。厳しさの必要性をかみ締めつつ時代の変化を捉え、人の痛みと思いやりが分かる〝感度の高い〟指導者として今、侍の指揮を執っている。

 いい意味で〝監督然〟を捨てて、選手ファーストにチームづくりを進めてきた。「(宿舎では選手と)会わないようにしている。(食事会場とか)時間をずらしたり。早くいった方がいいのか、遅い方がいいのかという感じで、メインの時間帯に行かないようにしている。やっぱり選手は嫌ですよね。(自分は)選手だった頃に、嫌っていうか『ワッ!』って思ってたんで」。食堂に行く際も選手が出払ったタイミングをいつも計算している。

 腹案だった宮崎合宿中の決起集会も自ら封印した。「こっちで(声をかけて)っていうのもあったけど、そこは(首脳陣が)入ると入らないで選手も違うと思って。自分が現役の時はそうだったんで。いろいろ心の中で思っている部分はあったんですけど、いない方が(選手は)リラックスできるでしょうから」。持ち前の視野の広さとプレーヤー目線で、選手を含めた現場がのびのびできる環境を整えようと腐心している。

 宮崎合宿打ち上げの手締めの際、牧(DeNA)は「井端監督の下、ここにいる全員で一体となって優勝しましょう」とあいさつ。指揮官も「チームが一つにまとまった」と手応えをつかんで本番に乗り込んできた。

 試合後の勝利インタビューで、監督と呼ばれることに「全然慣れていない」と等身大の返答で観衆を沸かせ「これからもコーチを信頼し、選手を信頼してやっていきたい」と語った井端監督。若き侍を束ねる新リーダーが、時代に沿ったマネジメントで統率力を存分に発揮している。