野球日本代表「侍ジャパン」の新監督に中日と巨人で活躍した井端弘和氏(48)が就任し、4日に東京都内のホテルで会見が行われた。今年3月の第5回WBCで世界一を奪還した栗山前監督の後任探しは難航。2026年春に予定される次回WBCの監督人事を事実上先送りし、24年秋の「プレミア12」までを「前提」とした契約となった。それでも新監督の周辺からは「世界を制するのに、これほどうってつけの男はいない」と太鼓判を押す声が飛び交う。その理由とは――。

 大役を任された頭脳派の若き侍新指揮官が言葉の一語一句に力を込めた。スーツ姿で就任会見に臨んだ井端監督は「まさか私にと、とても驚いたのと同時に、こんなに光栄なことはない。身に余る大役ではありますが、自分の持っているものを全て注ぎ全力で努めていくことが日本野球への恩返しになると考えた」と意気込みを語った。

 任期は2024年11月の第3回プレミア12までが基本線となるが、大会ごとに契約を更新する形態をとる。井端監督は「当初は1大会1大会でという思いもあったが、まずは1年やってみて、その中で評価していただければと思っている。1年1年という思いは伝えた」とも述べた。

 現役時代は好守巧打で内野の名手として名をはせた。引退後は巨人で3年間にわたってコーチを歴任。稲葉監督が侍ジャパンを率いた17年の第1回アジアチャンピオンシップからコーチに就任すると21年東京五輪でも内野守備コーチを務め、強化本部編成戦略担当も兼務した。

 その卓越した野球観と指導力は折り紙付き。それだけではない。井端監督に近い関係者は知られざる驚がくの「特殊能力」についても、このように打ち明けている。

「球場だけでなく、テレビを見ている時も投手の投球モーションを観察して、わずかなクセを見抜いてしまう。投球前に『直球』『変化球』とズバズバ言い当てて100%的中させた」

 さらに同関係者は「日本人投手以上にクセのある投手が多い世界の各代表国が相手なら、あのズバ抜けた洞察力があれば必ず武器になる」とも力説している。

 投手だけではない。中日の現役時代には自軍のある野手が、相手ベテラン投手の外角に落ちる変化球に手を焼いていて相談を受けたことがあった。すると井端氏は「投手が投げる直前に遊撃を見ろ! 外角へ変化球を投げるときは二塁方向へほんのちょっとだけ体が動くから」と指摘。このアドバイスが効果てき面となり、相談した中日の野手は結果を残して感謝することしきりだったという。

 次回WBCで指揮を執る可能性について井端新監督は「まず、就任の話をいただいて、全然日もたっていないし、この状況に驚いている状況なので、まだ何も考えていない」と述べるにとどめた。だが、その後に「日本には世界に誇れる野球がたくさんある。その中の一流選手たちの魅力を存分に生かすことが応援してくれる人の胸を打つと思う。今年のWBCでも高い守備力と投手力、そして打の方でも世界に引けをとらないことが証明された。私なりに相手チームを柔軟に、緻密に戦術してこれからも戦いたい」と侍ジャパンに全身全霊を注ぎ込む決意を口にすることも忘れなかった。

 今年11月の第2回アジアチャンピオンシップが初陣となる。前出の関係者は「ぜひとも次回WBCまで監督を続け、侍ジャパンを世界一連覇へ導いてほしい」とエールを送る。

 井端監督の超人的な洞察力が世界を驚かせ、侍ジャパンを再び頂点へと導くことになるか。大いに注目される。