日本シリーズ第7戦は5日に京セラドーム大阪で行われ、阪神が7―1でオリックスを下して1985年以来、38年ぶりの日本一。不動の1番打者として、シリーズ打率4割8分3厘、2打点、3試合で猛打賞を記録するなど大活躍した近本光司外野手(28)が最高殊勲選手に選ばれた。

「ここ数年チームの年齢層も若返り過渡期に入ってましたが、今年からは黄金期に入ります」。2021年2月の阪神春季沖縄宜野座キャンプ。選手会長に就任したばかりの近本は手締めのあいさつでこう力強く宣言した。

 この春には新戦力としての期待も高かった佐藤輝や伊藤将、中野らが一斉に加入。大口をたたくタイプではない近本としても手応えを感じていたのだろう。それでも「黄金時代」の到来まではもう数年かかった。

「(矢野前監督は)最初の監督だったので…。ドラフトの時からお世話になった。いろんなメディアで矢野さんに対する記事を読んで、出ている選手が打てないから負けるんで。僕らが悪いんで…」

 失意のうちに終わった昨季最終戦。CSファイナルステージ第3戦(2022年10月14日、神宮)でヤクルトにスイープされて完全終戦が決まると、近本は人目もはばからず号泣した。恩師の花道を飾ることができなかったことへの自責の念がとめどなくあふれ出す。おえつで何度も言葉を詰まらせながらも「勝ちたいです」。何よりも勝利に飢えていた。

 日本シリーズではチームを日本一へ導く活躍を披露し「38年間、長い間応援ありがとうございます」と笑顔を見せた。ようやく実現したあの日の予感。切り込み隊長として、ここから始まる「黄金の時間」をあと何年けん引していくのだろうか。