日本シリーズ第7戦が5日に京セラドーム大阪で行われ、阪神がオリックスを7―1で下し、通算成績を4勝3敗として38年ぶり2度目の日本一を成し遂げた。レギュラーシーズン、そしてクライマックスシリーズ(CS)を乗り越え、最後に日本シリーズも制しての〝完全V〟。本紙専属評論家の伊原春樹氏は岡田監督の「ブレない采配」を激賞した。

【新鬼の手帳・伊原春樹】阪神・岡田監督の采配はレギュラーシーズンから一貫し、全く「ブレ」がなかった。打線に関しても自分が一度決めたことには選手を信じ、個々の好不調によって多少のマイナーチェンジは施しても基本的に大幅なテコ入れは行わない。

 今季の日本シリーズでも、そんな指揮官の強い信念が結実したと言い切れる。3番に据えたルーキー・森下と助っ人のノイジーを中軸として我慢強く起用し続けたところも、まさにそうだ。両者ともレギュラーシーズンでは打率2割台前半。この日本シリーズでも2人は第1、2戦まではパッとしなかったものの、特に打順をいじることもなく不動のまま、それぞれに役割を託した。

 そして森下は第5戦で8回に逆転の2点適時三塁打を放ち、第7戦でも3安打2打点と大活躍。ノイジーも前日の第6戦に続き、2試合連発となる先制のシリーズ2号3ランをこの日の大一番で敵地スタンドへ叩き込んだ。2023年にあらためて大きな進化を遂げた「岡田野球」の象徴的なシーンになったと解釈している。

 岡田阪神は開幕前、大がかりな補強を行わなかった。ノイジーはともかく、新しく獲得した他の外国人選手についても「成功」と言い難い。それでも、このように日本一という最高の結果を残すことができた。これは間違いなく岡田監督のマネジメント能力が優れていたことに尽きる。木浪を遊撃に置き、中野と鉄壁の二遊間コンビを結成させたのは〝今季最大のヒット〟だったと思う。糸原を代打の切り札に持っていく妙案に踏み切ったことにも「なるほど」と関心させられた。

 おそらく岡田監督は長い間、現場を離れながらもプロ野球解説者としてネット裏から古巣・阪神の戦いぶりをくまなく分析し〝何が足りないか〟〝どうすれば勝てるのか〟と腐心し続け、じっくり勉強していたのだろう。

 群雄割拠のレギュラーシーズンもさることながら、それとは完全に別物の日本シリーズも制しての〝完全V〟。見事という言葉以外には見当たらない。岡田監督、そして阪神の面々の皆さんへ――。38年ぶりの日本一おめでとうございます。(本紙専属評論家)