【森脇浩司 出逢いに感謝(20)】ロッテのコーチ時代の2021年は阪神を退団した鳥谷敬が入団した。彼の実績は申し分ないし、取り組む姿勢はストイックで素晴らしいものがあった。でもパフォーマンスという部分では…。オリックス監督時代の13年にソフトバンクから来た馬原孝浩、中日コーチ時代に来た松坂大輔はまだその時点で見せつけることができた。影響力だけじゃなくてね。鳥谷の場合は本人も自覚していたとは思うけど、力的には衰えていましたね。
だからこそ余計に彼の素晴らしさは僕らも見ることができたし、選手も勉強になった。最後まであきらめない。思うようにいかなくてもチャンスがある以上は昨日より今日、今日よりは明日という格好で準備を続ける。グラウンドに足を踏み入れる限りは最善の準備を尽くすんだということ。今まで多くの選手を見てきましたが、指折りだったですね。
世間は何で鳥谷を使うのか、という声も出てきますが、監督としては使いたくなる。それだけのプロセスがある。誰よりも準備をしている過程があるので期待せずにいられないんですよね。選手は多くのことを学んだんじゃないかと思います。
5月には主力だった清田育弘が度重なる規約違反などで契約を解除される問題があった。チームに動揺はなかったと思いますが、個人的には…本当に残念だった。僕がロッテに入ることが決まってまもなく清田から電話をもらったんです。「頑張りますのでよろしくお願いいたします」と…。
必要な戦力としてシミュレーションもしていた。完璧な人間なんていないし、まっさらな人はいないと思っている。だから僕は偏見も持たないし、いろんな人と付き合ってもいる。清田も楽しみにしていたし、いろんなことを乗り越えて勝利に貢献してくれると思っていた。まだまだ力を持っている選手が現場に戻ってこれなかったことは残念でしたねえ。
その年は古巣のオリックスとマッチレースの展開になりました。夏場に追い上げ、9月5日に単独首位に浮上。その後はマジックがついたり消えたりで最後の最後までしのぎ合いが続きました。しんどいけど、ある意味、この状況は望んでいたことだし、味わいたいと思ってやってきたこと。そこに面白みがある。井口監督が土を耕して種をまいて水をやった。オリックス時代もそうだったし、王貞治監督とやらせてもらったホークス時代もそう。きれいな花を咲かすには事前の作業が必要で、プロセスを経て、ようやくその時期を迎えた。
覚悟を決めて使っている選手が着実に戦力になりつつあって、非常に激しい優勝争いをしている。昨日、すごいことをやった選手が今日はどんなことをやってくれるか、それがすごく楽しみでした。日々、変化する選手が頼もしかった。そして10月27日の楽天戦に敗れ、16年ぶりの優勝は141試合目でついえた…。












