巨人は12日、元木大介作戦兼内野守備コーチ(51)が今季限りで退任すると発表した。
元木コーチが球界に電撃復帰したのは、原辰徳前監督(65)が3度目の指揮を執ることが決まった2019年シーズンから。長らくバラエティー番組などに出演し〝タレントコーチ〟とやゆされることも少なくなかった。しかし、現役時代に「くせ者」と称された卓越した野球観はまったく衰えてはいなかった。
まず驚かされたのは桁外れの視野の広さ。ある日の練習中、一塁側のカメラマン席から外野で選手たちのウオーミングアップを見守る元木コーチをカメラのレンズ越しに追いかけていると、こちらを向いて思いもしない言葉を投げかけてきた。
「さっきから何、撮っとるんや! どうせ週刊誌にでも売るんやろ!」
そんなわけもなく、たまたまカメラマンがおらず、自分で撮っていただけなのだが…。それにしても、報道陣でごった返していたなかをピンポイントで探し当てる鋭さには脱帽するしかなかった。
復帰した当初は色眼鏡をかけて見られがちだった。だが、実際に接してみると責任感が強く、熱く、「巨人愛」の塊のような人間だった。
「俺がダメなら、選手の目の前で殴られたっていい。選手たちに、監督がここまで怒っているんだと伝わればね」
「巨人軍」の一員であることへの誇りを持ち「ユニホームの胸に『GIANTS』が入っている選手なら、最後までジャイアンツのために働いてほしい」と何度も選手たちに説いた。
そして、特にレギュラーに定着できない選手には口酸っぱくこう言い聞かせ続けた。
「ユニホームを脱いだら大変だぞ。テレビとか、簡単に仕事があると思ったら大間違い。今から必死になってやらないと」
19年と20年は2年連続でリーグ優勝を果たした。その後は苦しい戦いが続いたが、元木コーチがチームやナインに残した思いや言葉の数々はかけがえのない〝財産〟となるはずだ。
(前巨人担当キャップ・大島啓)












