やはり実績と経験はダテではなさそうだ。楽天・田中将大投手(34)が25日の日本ハム戦(エスコン)に先発し、7回3安打1失点と好投。日米通算198勝目こそお預けとなったものの、9―1の勝利に貢献し、チームを3位に浮上させた。近年の成績不振もあって周囲では〝先発限界説〟もささやかれていたが、ここへきてその評価は一変しそうな雲行きとなっている。
すさまじい気迫だった。この日は鬼の形相でマウンドに仁王立ちし、序盤から日本ハム打線を圧倒。5回まで許した安打はわずか2本だった。6回に田宮に1号ソロを浴びたが、相手に主導権を渡すことはなかった。
田中将は「あれ(田宮への1球)は失投なんで。それがホームランになってしまって。1―0という展開の中でああいうことはやっていけないと思うので。あそこはやっぱり自分の中でも残念でした」と悔しさをあらわにしたが、間違いなくチームをCS圏内に導いた立役者の一人だった。
ただ、右腕への風当たりは年々強まっていたのも確かだ。2021年は4勝(9敗)で昨季も9勝(12敗)。今季も8月26日のソフトバンク戦(楽天モバイル)で今季7勝目を挙げて以来、4試合連続で白星から見放されている。しかも9月の登板はこの日を除く3試合では計15回1/3で13失点。残り「3勝」に迫る日米通算200勝に向けても足踏みが続くだけに、一部ファンや球界関係者からは「先発ローテーションを外すべき」「中継ぎに回った方がいいのでは」といった厳しい声が出始めていた。だが、果たして本当にそうなのか。
確かに、ここ数試合の投球はふがいなかったかもしれない。チームの残り試合数(9試合)を考慮しても今季中の日米200勝到達は絶望的で、必然的にチームの勝利を優先した起用法が叫ばれるのも無理はない。
しかし、田中将は日米を股にかけ一時代を築いた投手。大舞台や短期決戦の経験も豊富で、この日のようなCS進出に向け「絶対に負けられない」という重圧のかかる一戦には無類の勝負強さを誇る。となれば、田中将の起用法を変更するよりはむしろ今のままがベスト。今後のプレーオフ、短期決戦を見据えれば田中将の力は間違いなく必要だろう。
石井監督も試合後、田中将の投球内容について「今日は(相手打者の)空振りとかもすごく多かった。前回(登板時)は空振りとかはなかったが、今日は三振だけじゃなく空振りが取れていたので」と高評価。その上で「彼の良さが出てきたんじゃないかなと思います」と今後に向け、期待を寄せた。
昨季から続くシーズンを通しての不調は否定できないものの、ことCSを含めた短期決戦には絶大な信頼を持てる田中将。まだまだ彼の実力と経験を侮るわけにはいかない。












