復帰した〝虎のリードオフマン〟がチームのラストスパートに拍車をかけた。セ首位・阪神は8日の広島戦(甲子園)で4―1と快勝。6連勝で優勝マジックを「10」とした。

 2位・広島との直接対決3連戦初戦をモノにし、マジックを一気に2つ減らした岡田彰布監督(65)は「意識すんのは、もうちょっと減ってから」と慎重な言葉を口にしたものの「大きいよな」とも続け、納得の表情を浮かべた。

 この日はチームの要・近本光司外野手(29)が「1番・中堅」でスタメン復帰。3日のヤクルト戦(神宮)で死球を受けて右脇腹を打撲したが、3試合ぶりにグラウンドで躍動した。5回の第3打席では二死一塁から右前打で出塁。8回には四球を選び、大山の放った左翼線への二塁打で一塁から一気に本塁を陥れた。

 全開モードのプレーにも試合後の近本は「まぁ、こんなもんじゃないですか。いい確認ができました」と淡々と述べ、汗をぬぐった。

 ここまで今季はリーグトップの得点圏打率3割9分3厘、自己最多更新の51打点。バットでの貢献度がクローズアップされることが多いが、通算3度の盗塁王に輝くなど、球界屈指の走力は今季も健在だ。

 7月まで15個だった盗塁数は8月に8盗塁を記録し、一気にジャンプアップ。9月に入ってからの1盗塁と合わせ、2位で追う同僚・中野に7差をつけて24盗塁とし、リーグトップを独走している。

 今季から就任した岡田監督は、チーム内の盗塁ルールに関して「過去に〝グリーンライト〟にしたのは(盗塁王5回の)赤星(憲広氏)だけ」と述べ、各自の判断ではなく全てベンチのサインで動く方針を表明している。昨季まで近本に対して付与されていた「走りたいときに狙ってOK」という〝グリーンライト〟のサインは基本的に出さないのが、岡田野球だ。

 それでも8月以降、一気に盗塁数を増やした近本にはチーム内で「監督は〝狙えるなら〟とある程度の自由を与えたのでは」という声も飛び交っていた。筒井外野守備走塁コーチは「戦略上のことでもあるので…」と詳細は伏せつつも「監督から(近本への)盗塁のサインが出る頻度は上がっていた可能性は確かにあるかもしれないです」。

 今季の盗塁は27回のトライで、そのうち失敗はわずか3。成功率は実にリーグトップの88・9%を誇る。そんな近本の脚力への信頼度は岡田監督が唯一認めた〝赤星レベル〟へ着々と近づいている模様だ。