もう同じ轍は踏まない――。マジック15と「アレ(優勝)」への歩みを進める阪神。ただ、やはり懸念されるのが不動の1番打者・近本光司外野手(28)の状態だ。

 3日のヤクルト戦(神宮)で右わき腹に死球を受けて途中交代。4日に都内で検査を受けた結果は「打撲」で、骨に異常はなく〝最悪〟の長期離脱は避けられる見込みとなった。岡田彰布監督(65)もこの日の移動前に「良かったよ」とホッとひと息。一軍登録は抹消せず、患部の状態を日々確認しながらチームに帯同させる方針という。

 とはいえ、当面は無理をさせられないのが実情だろう。近本は7月にも同じような箇所に死球を受け、約3週間離脱した経緯がある。走攻守で中心的な役割を担う近本の存在は簡単に替えが利くものではなく、不在の間はチームも5勝6敗で波に乗れなかった。しかし、首脳陣からすれば、まさに前回の〝教訓〟を生かすべき時が来たとも言えそうだ。

 7月の緊急時に最も対応を急いだのが守備面だった。岡田監督が開幕前から近本を中堅手として固定起用することを明言していたこともあり、それまでは代役候補すら不在。試合前のシートノックでも、右翼や左翼には複数の選手がいても、中堅は近本だけだった。ところが、離脱後は様相が一変。「危機管理」への必要性からさまざまな選手を中堅守備に就かせ、有事に対する備えを意識づけてきた。

 代役候補に島田や森下らの名前を挙げられる中でも、指揮官の評価が急上昇しているのが小野寺暖外野手(25)だ。4年目の今季は打撃の対応力にも磨きがかかり、出場30試合で53打席ながら打率3割3分3厘、9打点の成績。8月中旬以降だけでも3試合で3番に抜てきされている。報道陣から「なぜ3番で起用したのか」と問われた際に、岡田監督も「打つからや!」と〝ドヤ顔〟を決めたこともあったほどだ。

 チームにとって、近本がアクシデントに見舞われたことは決して朗報ではない。ただ、小野寺にはさらなる〝売り込み時〟がやってきていることは確か。前回の有事からあらゆる事態を想定しながら地道に備えを進めてきた虎将は、ピンチをものともせず悲願へと突き進めるか。