これが地力の差なのか――。阪神は10日の巨人戦(東京ドーム)を5―2で制して7連勝。2位広島にも5・5ゲーム差をつけ、独走モードに入ってきた。敵地で見事なスイープを決めた岡田阪神と、接戦を落とし続けてBクラス再転落&自力優勝の可能性を消滅させた原巨人。本紙評論家の伊勢孝夫氏が明暗を分けた両軍の違いに切り込んだ。

【新IDアナライザー・伊勢孝夫】投手力においては阪神が圧倒的に上だが、打線全体の迫力そのものは巨人もほぼ互角。前カードの広島戦で3戦合計4本塁打6打点と絶好調の4番・岡本和がいる巨人なら、阪神の独走状態にストップをかけられるかもしれないとみていた。だが、終わってみれば阪神の3連戦3連勝。くっきりと明暗が分かれた。

 投手力、打力だけでなく、機動力でも阪神が一枚上だった。ここまでチーム51盗塁の阪神に対して、巨人は35盗塁。この日のスタメンを見ても、巨人で足を使えそうなのは吉川と梶谷くらい。阪神はリーグトップ18盗塁の近本と12盗塁の中野が1、2番コンビを組み、4番の大山や5番の佐藤輝も「イケる」と踏めばベンチ主導でどんどん走らせてくる。この差は大きい。

 9日の第2戦でも阪神の代走要員・植田が効果的な仕事をしたが、この日も象徴的なシーンがあった。勝敗を分けた終盤の攻防だ。0―1の7回に先頭のノイジーが二塁打で出塁すると、岡田監督は代走に島田を投入。次打者・梅野の打席で戸郷の野選を誘い、一、三塁とチャンスを広げた。さらに一塁へのけん制球を捕球し損ねた中田翔の失策に乗じて同点に追いつき、近本の2ランで勝ち越した。

 一方の巨人も8回に坂本のソロで1点差に詰め寄ると、続くブリンソンの内野安打と大城卓の左前打などで一死一、三塁と反撃に出た。原監督も代走で増田大、門脇と2枚のカードを切ってプレッシャーをかけにいったが、中田翔には加治屋、秋広には左の島本(対戦は代打の右打者・岸田)とワンポイントでリリーフをつぎ込まれ、勝負手を封じ込められる形で得点には至らなかった。

 阪神は1、2戦で連投した抑えの岩崎が〝上がり〟で不在だったが、3―2の9回に「代打の代打」原口に2ランが飛び出して勝負あり。代走、代打、継投で豊富な駒を手元に取りそろえている岡田監督に軍配が上がった。その差が今の順位、ゲーム差、阪神の12勝4敗1分けという対戦成績に表れているのだろう。