第105回全国高校野球選手権大会第4日(9日、甲子園球場)、第1試合は〝心の会話〟でチーム一丸となった初出場の鳥栖工(佐賀)が甲子園初勝利をつかんだ。

 鳥栖工は延長タイブレークの末に3―2で富山商を下し、2回戦進出を決めた。6回からは1年生右腕の松延響(まつのぶ・ひびき)がマウンドに上がり、捕手で兄の晶音(あぎと、3年)との〝仮面ライダーバッテリー〟が実現。7イニングを5安打1失点に抑え、延長12回の劇的サヨナラ勝利を呼び込んだ。

 春夏通じて初出場の甲子園での初勝利には、大坪慎一監督も喜びひとしおだ。驚異的な粘りを発揮できるようになった背景には、ある出来事があった。今年3月の春季大会で佐賀北に6―14と完敗。そこから選手の意識が変わった。きっかけは指揮官のベンチでの態度だったという。

「こてんぱんにやられて、僕が試合中に投げやりになったんです。これは無理だと…。いつも『あきらめるな』と言っている僕があきらめていた。そうしたら『先生が一番あきらめていますよ』と言われて…。僕も反省して謝りました。そういう心の会話ができるようになった。これだけ成長するんだな」

 大坪監督は選手に日々感じたことを日誌に書くよう義務付けている。とはいえ、この試合は指揮官自身が一方的な劣勢に「好き勝手やれ」「お前らだけでやれ」と試合を途中で投げ出すような言動をしたことで、日誌に選手からの厳しい指摘が続出。ある選手は「試合中に監督が言っていたことをみんな『イヤだな』って書いたんです。そうしたら監督も日誌を読んで『俺が悪かった』と返してくれた。みんなの前でも『俺も変わるから』と…」と明かす。

 その一件からエース古沢(3年)を中心にチームが変わり、佐賀大会の初戦で佐賀北を2―1で下してリベンジ。聖地初見参を果たし、見事に白星をつかみ取った。