新日本プロレス真夏の祭典「G1クライマックス」Dブロック最終公式戦(9日、浜松)で、内藤哲也(41)が棚橋弘至(46)から5勝目を挙げ1位通過を決めた。2年連続決勝トーナメントに駒を進めたのを機に、今大会で賛否両論を巻き起こした新システムの〝功罪〟を総括。史上最多32選手の出場、試合時間10分短縮の20分1本勝負採用から見えたG1の改善点とは――。
勝てば1位通過、引き分け以下で脱落という条件下で棚橋と激突した内藤。残り時間3分を切っても劣勢が続いたが、トルネードDDTの要領から丸め込むスイング式首固めで劇的勝利を収めた。準々決勝(10日、船橋)ではAブロック2位のヒクレオと対戦する。
ついに8強が出揃った今大会で物議を醸したのが、32選手の出場と、公式戦20分1本勝負への変更だ。開幕前から異論を唱えていた内藤はリーグ戦を終え、本紙の取材に改めて持論を展開した。
まず、出場人数については「やっぱりもう少し絞るべきだと思いますね」ときっぱり。「G1って、プロレス界における一大イベントですよ。でも、今やこんなに敷居が下がってしまった。割と誰でも出られるようではG1じゃないでしょと思ってしまうので」と改めて「グレード1」の冠を重視すべきと主張する。
さらに「もっと短期集中でやってこそ注目も高まるのかなと。長すぎちゃって、最初の方のことなんて誰も覚えてないですよ。期間も人数も、もう一度検討するべきなんじゃないかな」と、長期化しているシリーズの〝凝縮〟を提言した。
一方で試合時間については「俺も観戦していた時、(1大会が)全試合シングルマッチだとキツかったんですよ。試合がスピーディーになって、見やすさはすごくあったと思います。ただ、プロレスにおいて『間』ってすごく大事だと俺は思っていて。その点を潰してしまっているような気はしますね」と一長一短だったと振り返る。
その上で「1大会8試合、全部公式戦っていうのなら20分はありなのかもしれない。ただG1の歴史、伝統、重みを考えると、1大会のシングル戦の数を減らして、今まで通りの30分1本勝負の方がいいんじゃないかな」と見解を述べた。
新しい試みをすべて否定しているわけではなく、実行した上での反省点を来年以降に生かすことが重要だというのが内藤の考えだ。「第1回大会のメンバーが8人だったことを考えれば、ここからが本当のG1という見方もできなくもないわけで。なら、人によってはトーナメントから見ればいいじゃんってなってしまいますよね。そうならないように、リーグ戦の価値はもっと高めないといけないし、来年の改善を期待したいですね」
ともあれ〝ご意見番〟としての役目はこれにて終了…のはず。あとは6年ぶり3度目のG1制覇へ、前進あるのみだ。