【楊枝秀基のワッショイ!スポーツ見聞録】25年も前の話とはいえ、目をつぶればあの日の光景がよみがえる。高校野球の歴史において今なお語り継がれる熱戦。1998年8月20日、夏の甲子園準々決勝第1試合、横浜―PL学園を思い起こさせるイベントが5日、大阪・堺市内のくら寿司スタジアムで行われた。

 主役はもちろん、元横浜高のエース・松坂大輔氏(42=野球評論家)だ。この日は当時のPL学園で中軸を担った独立リーグ堺シュライクス・大西宏明監督(43)サイドの要望に応える形で現地まで駆けつけた。

 さらにこのイベントには、PL学園野球部OBであり、人気高校野球マンガ「バトルスタディーズ」の作者・なきぼくろ氏も参戦。作品中に登場する「DL学園」と「横羽間」のユニホームを当日に試合する堺、淡路島の両軍が着用するという特別イベント「バトスタデー」は大いに盛り上がった。

 試合前のトークショーでは延長17回250球を投げ抜いた松坂氏が、実は16回で終わっていたかもしれないエピソードなどを披露。11回に同点打を打った大西監督は「あの頃から一瞬一瞬を大事にし続けてきたから、今でもこうして松坂とつながっていられる」と18歳の夏を振り返った。

 始球式には投手・松坂、打者・大西、捕手・なきぼくろ氏の3人で臨んだ。2球目の遅い直球で左飛に打ち取りガッツポーズの松坂氏が、満面の笑みで会場を沸かせた。

 松坂、大西両氏は高校時代からしのぎを削ってきた同学年のライバル。だからこそ、今回のイベントは成り立った。プロでもチームメートになったことはない2人が長きにわたり友情を保っているのはなぜなのか。大西監督は言う。

「彼の人柄ですよね。彼は太陽です。あれだけのスーパースターでありながら、僕らを優しく迎え入れてくれる。あと、やっぱりあの試合があったからやとも思います。これはあくまでも僕の一方的な片思い。彼はどう思ってくれているのか。友達と思ってくれていたらうれしいですけどね」

 親友への〝告白〟も飛び出したので、一応本人にも確認しておいた。大西監督が「一方的な片思い」と表現していることを伝えると松坂氏は「はい」と即答。大西監督の〝失恋〟が確定したかに思われた。ただ、松坂氏のニンマリした表情を見れば真意は一目瞭然だった。

「まあ、これまでもちょくちょく連絡を取ってきましたからね」

 夏の甲子園開幕前日、多忙のところ堺まで足を運んだ事実は動かしようのない事実。松坂、大西両氏を〝両思い〟と認定しておきます。