【鈴木平 超二流~花の咲きどき~(14)】 ドラフト同期1位の長嶋一茂さんからいただいたご縁で、普通の若者にはできない体験をたくさん積ませてもらいました。
オフにはハイヤーでゴルフ場まで送迎してもらい、その足で西麻布の高級フグ料理店に移動。その席ではコメディアンのせんだみつおさんに遭遇するという、驚きの連続です。
さらに食事を終えて飲みに繰り出すと、今度は鹿賀丈史さんがいらっしゃるお店でした。「おお、料理の鉄人じゃん! スゲェ」となったのを覚えていますね。
それからしばらくして、一茂さんがまたゴルフに誘ってくれました。今度は箱根まで遠征すると言います。「ちょっと遠いじゃん」なんて言っていると平然と「大丈夫だから。またクルマ用意するから」と本当にまたハイヤーを用意してくれました。
そして、ゴルフ場に到着したら、ゴルフ場の支配人の方が手厚く出迎えてくれました。「昨日は長嶋夫人が来られて、翌日は一茂さんがお友達を連れてやってくると聞いておりました」とVIP待遇です。
プレーが終わると一茂さんが「風呂入るぞ」というので、僕はゴルフ場の風呂に入って帰るんだろうなあと思っていたら、違ったんです。車で少し移動するとそこは長嶋家の別荘でした。
風呂は風呂でもミスタープロ野球・長嶋茂雄さんの別荘にある温泉ですよ。24時間、365日、源泉掛け流しってやつでしょうね。その温泉から富士山がドーンと見えるわけですよ。
風呂場にはT字形のヒゲソリが置いてあったのですが、それを見て「もしかしてミスターが使ったのかな」と想像したものです。
一茂さんに、この別荘には何部屋あるのかと質問すると「うーん、4つくらいかな」という返答。でも、実際には寝室だけで4つありました。
通された部屋もすごく広くて、立派な掛け軸がドーンと飾られているんです。どなたが書かれたものか、当時の自分たちは確認すらしていませんが、有名な方の作品なんでしょう。だって、ミスターの別荘に偽物なんてあるわけありませんからね。
後に一茂さんがヤクルトから巨人に移籍するだとかなったとき、取材陣の前に姿を見せないような時期もあったかと思います。あの当時、カズちゃんはあの別荘にいたんだろうなあと思っています。
僕自身、野球の方では3年目に野村監督の体制になって以降は苦しい時代が続いたんですけど、私生活に関してはすごく楽しかったんです。なんというのか絶妙なバランスで精神の均衡が取れていたのかなと思います。
同じ投手の先輩では高野光さん(2000年に39歳で他界)にしょっちゅう、食事に連れていってもらっていましたね。そういう意味では先輩や仲間に本当に恵まれた若手時代の自分だったと思います。
それにしても一茂さんの話はもう、ずっとしてても止まりませんね。本当に楽しい人なのでもう少し続けてみたいと思います。












