野球愛に満ちたオーナーのためにも勝ちたかったはずだ。ソフトバンクは26日の楽天戦(東京ドーム)に1―3で惜敗。試合のなかったロッテ、オリックスと入れ替わる形で首位から3位に転落した。
先発・和田が5回2失点と粘り、6回には主砲・柳田が同級生対決となった楽天・田中将からバックスクリーンへ2戦連発となる特大の11号ソロを放って見せ場はつくった。だが、今年初開催の球団恒例イベント「鷹の祭典」は白星発進といかなかった。
鷹陣営にはどうしても勝ちたい理由があった。孫正義オーナー(65)の御前試合、さらに事前告知なしのサプライズ始球式が行われた一戦だったからだ。東京で開催される主催試合は年に一度だけ。本社グループ社員も例年1万人以上が駆けつけるゲームで、鷹ファミリーに勝利を届ける意義は大きい。
孫オーナーは「ゴルフの生涯ベストスコア」にあやかった背番号68のユニホームを着用。「ワンバウンドでしたから、悔しいです」と語ったように、テレビカメラに抜かれないよう中堅方向に向き直って悔しそうな表情を一瞬つくったところに、生粋の負けず嫌いがにじんだ。
ベンチの画面にはブルペンの様子が映し出され、OBの五十嵐亮太氏から熱心に指導を仰ぐ姿には選手も感心していた。グラウンドに入る直前に上着を羽織り、計算したかのようにマウンド横でおもむろに脱いで観衆を引きつけるとっさの演出は、セルフプロデュースだった。
とりわけユニホームの着こなしには、チーム内から感嘆の声が上がった。「運動靴に履き替え、帽子をきっちりかぶり、自前のズボンにユニホームの裾をしっかりしまってマウンドに上がる姿は、野球への敬意を感じた」(チーム関係者)
2連敗で首位から陥落したが、チーム状態は交流戦から確実に上向いている。「ぜひ、このままドンドンぶっちぎって優勝してほしい。なんでも一番が気持ちいいですよね」。球団オーナーの野球熱とチームの強さは多分に比例するもの。熱さは変わらず本物だった。












