3団体の未来は――。新日本プロレス&全日本プロレス&プロレスリング・ノアの合同興行「ALL TOGETHER(AT) AGAIN 元気があれば何でもできる!」(9日、東京・両国国技館)は、新日本の〝レインメーカー〟オカダ・カズチカ(35)が故アントニオ猪木さんの代名詞「1、2、3、ダーッ!」で締めくくった。大団円で幕を閉じた第3回ATだが、一方では課題も浮き彫りに。さらなる活性化のために日本マット界はどうすべきなのか、エースが緊急提言だ。

 2012年2月の仙台大会以来、11年4か月ぶりに開催された第3回大会のメインは、各団体のトップ選手が一堂に会した豪華6人タッグ戦。オカダは全日本の青柳優馬、ノアの拳王と組み、棚橋弘至&宮原健斗&清宮海斗と激突した。

大会を「ダァー」でしめたオカダ・カズチカ(前列中央)
大会を「ダァー」でしめたオカダ・カズチカ(前列中央)

 両軍入り乱れての攻防から棚橋を孤立させると、オカダのヘビーレインから拳王がサッカーボールキックを発射。優馬もダイビングエルボードロップで続いて攻勢に出た。最後はオカダが代名詞のレインメーカーで大熱戦に終止符を打った。

 今大会のテーマは「コロナ禍からのリスタート」と、昨年10月に死去した猪木さんの追悼だ。メイン後のリング上には猪木さんの孫・寛太氏と尚登さんも登場し、最後はオカダが音頭を取って「1、2、3、ダーッ!」と拳を突き上げた。

 これがAT初出場となったオカダは「プロレスで愛と元気と勇気を届ける戦いができたと胸を張って言えます」と充実の表情。大会前は「知らない」と発言していた全日本勢にも「いい選手がたくさんいる」と認めた上で「またどこかで交わることができたらいいなと思います」と目を輝かせた。

全日本の宮原(右)と探り合うオカダ
全日本の宮原(右)と探り合うオカダ

 一方で平日開催ということもあってか、観衆は6569人(主催者発表)にとどまり、課題も残した。大会後に取材に応じたオカダは「別にどこの団体が悪いわけでもないですけど、もちろん新日本だけで埋められるようになってないといけないと思いますし。それだけのことをやれるように、ここから次のオールスター戦が超満員になるように。それこそ東京ドームでもできるくらいまでパワーをつけていきたいなと」と今後も切磋琢磨し、業界を盛り上げていく決意を示した。

 その中で提言するマット界活性化案が、団体間移籍の有効活用だ。「3大メジャー団体」と呼ばれた時代も今は昔。第1回ATが開催された12年前と比べると、団体の垣根はかなり低くなった。

 新日本もノアとは1月に対抗戦(横浜アリーナ)を行い、全日本には現在も多くの選手が参戦している。逆に新日本マットには、ノアの清宮が「G1クライマックス」(7月15日、札幌で開幕)に参戦する。しかし、オカダは「結局、対抗戦をやると、それが一つの団体みたいになってしまって、終わった後が物足りなくなっちゃうじゃないですか。それがよくないというか」と弊害を指摘する。

「味方」のノア・拳王(右)とは一触即発ムードに
「味方」のノア・拳王(右)とは一触即発ムードに

「いい選手がたくさんいるとわかったからこそ、もっと活性化できるなと。シリーズに参戦するのもありますけど、ファンから愛されるということを考えたら、やっぱり移籍っていう形もいいことだと思いますよ。サッカーを見ていても、そういうのは当たり前にありますし」

 頻繁に交流して刺激が薄まるくらいならば「移籍」を活発化させた方が団体、選手双方のためだと主張する。「レンタルは面白くないんですよ。(自団体に)帰っちゃうから。お客さんが愛せないですよ。それなら移籍という形で、行って帰ってくるケースの方が(いい)。せっかく3団体一緒にやるわけですから、そういう意味の交流もしてみたりしたら面白いんじゃないかなと思いますね」

 選手の活躍の舞台が広がり、モチベーションも向上するポジティブな移籍が増えれば業界がより活性化するというのがオカダの主張。プロレス界の未来に一石を投じそうだ。