驚異のロングスパートだった。陸上の日本選手権初日(1日、大阪・ヤンマースタジアム長居)、男子5000メートル決勝が行われ、塩尻和也(26=富士通)が13分19秒85で優勝。3000メートル障害でのV経験はあるが、同種目では初の日本一となった。

 冷静なレース運びだった。序盤からハイペースな展開だったが「終盤までしっかり離れずについていけたら」と好位置をキープ。3000メートル過ぎで先頭集団が遅れても、出どころを慎重に見極めた。「勝負がラスト1周とかまでもつれないように早めに行こう」とラスト1000メートルでギアチェンジ。遠藤日向(24=住友電工)、清水歓太(27=SUBAURU)らを振り切り、トップで駆け抜けた。

 世界選手権の参加標準記録(13分7秒00)には、まだまだ及ばない。しかし、近年は苦しんでいた日本選手権を制したことに大きな意味がある。「今年こそという気持ちで臨んでいた。今季はここまでうまく走れてきたので、いい調子のままこの舞台に立てるように調整してきた」と充実の表情を浮かべた。

 今大会の結果を受け、世界の舞台に一歩前進した。「世界選手権に近づくと思うし、来年には五輪があるので、そこにつながっていくような走りをしていきたい」。暗闇を抜けた塩尻に復活の兆しが見えてきた。