〝トラックの女王〟も太鼓判だ。陸上の日本選手権では、女子の田中希実(23=ニューバランス)が1500メートルと5000メートルで優勝。同種目での2年連続2冠は史上初の快挙となった。五輪4大会連続出場の福士加代子氏(41)が取材に応じ、田中の強さを徹底分析。東京五輪で8位入賞を果たした1500メートルだけでなく、5000メートルでも世界の舞台での活躍に期待を寄せた。
強さが際立ったレースだった。日本選手権最終日(4日)の5000メートルは「私自身の今の力を確かめたいと思った」と3000メートル付近でロングスパート。終盤には再びギアを入れた。現地でレースを見守った福士氏は「圧倒的でしたね。日本で太刀打ちできる選手がいないと思うし、自分でテーマを持って、それをやり切るのはすごい。1500メートルだけじゃなくて、5000メートルでも今後どれだけ世界で通用していくのか楽しみ」と絶賛した。
もちろん、世界のレベルは国内とは次元が異なる。田中も現状を理解しており、4~5月にかけて米国で2試合を消化した。さらには短期間ながら、ニューバランス・チームとともに米コロラド州フラッグスタッフで高地トレーニングを敢行。積極的に海外の選手と接する機会を設けている。
福士氏も海外での試合を数多く経験してきただけに「日本だと競り合う機会が少ないので、どんどん海外のトラックレースで転戦してほしい」と力説。その上で「最近も試合や練習で海外に行っていたし、いい刺激を得たのでは。日本と海外では練習の仕方も違うだろうし、トップの選手たちと質の高い練習ができているのでは」と国外へ出るメリットを指摘した。
田中は東京五輪後にメンタル面で苦しむ時期が続いたものの、現在は心技体ともに充実。最終日のレース後には「いかに入賞を最低限目指せるか。メダル争いは現実的にイメージできないが、イメージしながらこれから練習してもいいのかなと思う」と世界でのメダルを視野に入れている。こうした姿に、福士氏も「悩んだ時があったけど、やるべきことや、やりたいことが見えてきたんじゃないかな。そうなったら迷いがなくなるし、やっぱり強いよね」とうなずいた。
今大会で世界選手権(8月、ハンガリー・ブダペスト)の即時内定はならなかった。しかし、世界ランキングを踏まえれば出場はほぼ確実。福士氏は「去年のような悩んでいる時と自分の気持ちが乗っている時のレースは、また見えてくるものが違うと思う。頑張ってというか、楽しんでほしい」とエールを送った。
今後の田中はケニア合宿などを経て、アジア選手権(7月、タイ・バンコク)、世界選手権に向けた準備を進めていく方針。今夏は1500メートルだけでなく、5000メートルでも世界を驚かせてくれそうだ。













