パリで輝くための条件とは――。陸上の日本選手権最終日(4日、大阪・ヤンマースタジアム長居)、男子100メートル決勝が行われ、サニブラウン・ハキーム(24=東レ)は、10秒59で最下位の8位に終わった。無念の結果だったが、日本のエースが見据えるのはあくまで世界。8月の世界選手権(ハンガリー・ブダペスト)に向けた代表争いが待ち構える中、同種目元日本記録保持者で甲南大教授の伊東浩司氏は、真夏の大一番の重要性を説いた。
「セットした時、急に『あっ』と思った」。左脚がつった影響でスタートから出遅れ、後半も伸ばせず。レース後には「スタートは出られなかったけど、そこからちょっと頑張ろうかなという感じだったが、しっかりスタートができないと後半も何もできない」と厳しい表情で語った。
思わぬ結果に終わったとはいえ「日本選手権は通過点」と悲観する様子は一切なし。伊東氏は「試合のプランニングが世界基準になっている。日本選手権を経て7月、8月ぐらいにエンジンをかけていくというのが大きな特徴」と明かす。2022年7月の世界選手権では日本人初の7位入賞を果たしたように、ピークはこれからというわけだ。
では、大舞台でメダル争いを繰り広げるために必要なことは何か。伊東氏は「今回の世界選手権で再びファイナルに残れば、五輪でもより高い順位が狙えるのでは。われわれ第三者から見ると、すごい記録と本人が目指しているメダルが近づいてくるのではないか」と分析した。
高校時代から世界ユース選手権で2冠に輝くなど、数々の大舞台を経験してきた。だが、世界選手権の決勝は別物。伊東氏は「ファイナルの時は思うようなレースをさせてもらえなかったというようなコメントがあったと思うので、高校の年代から世界の決勝で戦っている選手でも、シニアのファイナルというのはすごいんだなと思った」と驚きを口にするほどだ。
それだけ決勝の経験は大きな意味がある。実際、同種目のアジア記録保持者で東京五輪6位入賞の蘇炳添(ソ・ヘイテン=中国)も場数を踏んで歴史に名を刻んだ。伊東氏は「蘇炳添選手は(世界選手権の)決勝を複数回積み上げた。その経験と自信が積み重なり(21年東京五輪準決勝を)9秒8台(9秒83)で走っている。やっぱり決勝に残ることが選手をよりプラスに成長させるんだなと感じている」と強調した。
世界選手権の出場へは、世界ランキングの対象大会で参加標準記録(10秒00)を突破する必要がある。サニブラウンは「ここから練習もしっかりして、タイムを徐々に上げていけたら」と気合十分。24年パリ五輪へ一つひとつハードルをクリアしていく。












