【グラゼニ球論・金村暁】セ・リーグ首位で交流戦を迎える阪神で、注目をしているのは「指名打者」の使い方です。ここまでの攻撃陣の好調の要因には、昨年までにはなかった9番の投手の打順を除く、ほぼ固定の先発オーダーで臨んでいる点があります。先発野手で名前が変わるのは「6番・右翼」と「8番・捕手」の打順ぐらい。

 交流戦でパの主催試合では、セ球団も「DH」として打力のある野手を一枚多く起用できますが、現オーダーでも、ここまでリーグ1位の189得点(29日現在)と機能しているだけに、これを岡田監督は打順のどこに当てはめるのか。

 昨年と違うのは下位打線。岡田監督はおそらく、7番・捕手→好調の8番遊撃・木浪→9番・投手と続く並びも、あまり動かしたくないのではないかと想像します。この打順の3枠で好機をつくり、1番打者ながらリーグ6位の26打点を叩き出している近本に回る打線の巡りで、得点を生み出すという攻撃パターンは、ここまでの得点源の一翼を担ってきたからです。

 そうかといって5番・佐藤輝までの上位陣も、ここまで順調に機能しているため、攻撃の起爆剤のような起用を現状、必要としていません。現実的には唯一、確定していない6番以降。守備力を懸念してDH起用が有効となるのは、助っ人のミエセスぐらいで、他の森下、島田らは十分に守りも計算できます。今の打線にとってDHは「別に使わなくても…」と言えるぐらいなのです。

 裏を返せば今の打線は、DHがあっても、なくても攻撃において“野球”が変化しない、どこからでも得点が可能な実にバランスが取れた打順がつくれていると言えます。そんな最高の状態で迎えるなかでの交流戦で岡田監督が「指名打者」というスパイスをどういう形でラインアップに注入するか。交流戦ならではの見どころと言えます。

 一方で投手陣。打席に立つ必要のないDH制の試合では、とくに先発に頑張ってほしいと思います。昨年まで投手コーチだった経験上、一般的に先発投手は、暑い夏場を迎えたときに状態的にも下降線をたどる時期が来るもので、必然的にスタミナ面の“限界”も早まる傾向にあります。そうなったときに頼みの綱となるのが、ブルペンの面々。シーズンの佳境で、ブルペン陣のフル回転を期待するためにも「投球に専念できる」交流戦で、先発投手には1イニング、1アウトでも多く投げるという気構えで臨んでほしいなと思っています。