【グラゼニ球論・金村暁】阪神・青柳晃洋投手(29)が20日、不調のために登録抹消となりました。今季は初の開幕投手を務めながらも7試合で2勝3敗、防御率5・63。昨季の最多勝、最優秀防御率、最高勝率のリーグ三冠を獲得した〝輝き〟は今季は影を潜めており、再調整の首脳陣の判断は致し方ないように感じます。

 ただ、過ぎたことを悔やんでばかりいても、仕方がありません。大事なのは、可能な限り迅速に昨年の状態に戻すこと。ここまで思い通りに投げることができず、さまざまな感情が交錯していることは想像できるだけに、まずは一度、心身のリセットを済ませ、再起への一歩を踏み出してほしいと思います。

 技術的に取り組んでほしいこともあります。それは左打者への内角への投球。足元へのカットボールや内角高めへの直球を再度、磨いてほしいという点。19日の広島戦のように基本的に青柳の登板日は、敵は左打者を多く並べた布陣で臨んできます。ただし、それはもう分かりきっていること。その上で「どう攻めるか?」。今季はこの部分での物足りなさを感じる場面が多々あります。

19日の広島戦では、左打者にやられた
19日の広島戦では、左打者にやられた

 対左打者の攻めが外角中心に偏りがちで、そこを相手に踏み込まれ、痛打を喫する場面が多く映ります。もともと的を絞らせないようにして、凡打の山を築くのが持ち味の投手。最終的にはゴロを打たせるのが持ち味であり、それをより生かすためにも、ベース板を広く使った投球スタイルで、復活への糸口を掴んでもらいたいと思います。

 実は昨年も夏場以降、状態が悪い時期がありました。一軍投手コーチだった当時、左打者へ攻め方を見直したことで状況を打開した記憶があり、今季2勝目をあげた12日のDeNA戦も中盤以降、内角への直球系の割合を増やして8回途中まで投げたことを踏まえると、やはり復活への〝ヒント〟はこの部分に見え隠れしているように感じます。

 また、投球フォームの部分でも、重心がやや三塁側に流れた体勢でフィニッシュを取るシーンが多くなっています。この部分も今季ここまで、やや左打者の外角中心の投球が多くなっていることが関係しているようにも思えます。

 好調時、フィニッシュを取った時の重心は、真後ろに跳ね返るのが青柳の本来の姿。再調整中にブルペンで投げ込むべきは、右打者の外角であり、左打者の内角。これは三塁側へと流れがちになっている現在のフォームに〝矯正〟を促す意味でも効果があるかと思います。

 シーズンはまだ残り100試合以上と〝挽回〟は十分に可能な時期。この悔しさをバネに、一日も早いエースの復活を期待しています。(本紙評論家)