急成長の要因は――。現役ドラフトで楽天から加入した巨人のオコエ瑠偉外野手(25)が「切り込み隊長」として存在感を発揮している。開幕から14試合で1番打者を務め打率2割8分3厘、2本塁打、5打点と活躍。かつてはなかなか芽が出ず「未完の大器」とも言われていたが、突然の覚醒の裏には大久保博元打撃チーフコーチ(56)による〝デーブ流人心掌握術〟があった。

 いまや欠かせない戦力となった。昨季終盤には「だいぶメンタル的に食らっていて(気持ちが)完全に折れていた。『野球を辞める』と家族にも伝えていた」と一度は引退すらも考えたが、現役ドラフトを経て新天地で生まれ変わった。開幕戦の3月31日の中日戦(東京ドーム)で1番に名を連ね、4日のDeNA戦(横浜)では昨季2度しかなかったマルチ安打を記録。11日の阪神戦(東京ドーム)で5年ぶりの1試合3安打をマークすると、2日後にも3安打と勢いに乗った。

 走攻守3拍子そろった好素材として2015年ドラフト1位指名を受けながら期待に応えられなかった男が、なぜ新天地で開花できたのか? その裏には、大久保コーチのある作戦があった。

「彼の場合は飽きさせないことが何よりも大事。性格的に一度波に乗ったらもうノリノリになっちゃうけど、逆もまた然りなんですよ。厳しく接するんじゃなくて、とにかく野球を、練習を、楽しませることがカギなんです」

 実際、今春キャンプでは普段の練習からゲーム要素を加味したメニューを導入。一度失敗したらやり直しとなる「15の打撃課題」や、選手数人でランダムにチームを組んで合計スイング数を競い合うプチ企画、気分転換に球速約160キロの軟式マシン打撃など、オコエら若手選手を飽きさせない練習を実施した。そんな気遣いにオコエも「デーブさんにはいろいろと練習内容も工夫してもらって本当に楽しくやらせてもらっています。よく楽天時代に被っていると思われがちなんですが、被ってないですし、毎日が新鮮です」と感謝を述べていた。

 環境が変われば人も変わる。ようやく大器の片りんを見せ始めたその裏には、素直に野球を楽しむオコエの姿があった。