V奪回を期すソフトバンクは開幕から10試合を終えて8勝2敗、両リーグ最多の貯金6と上々のスタートを切った。球団OBで本紙評論家の加藤伸一氏は「投打とも死角は見当たらない」とし、3月のWBCで12球団最多タイの4選手が侍ジャパンの一員として世界一に貢献した効果も計り知れないと指摘した。
(成績は12日現在)

【インハイアウトロー 加藤伸一】ここまでのソフトバンクの戦いぶりは、投打とも申し分ない。先発投手で言うなら、5回持たずに降板したのは6日のオリックス戦で3回途中にKOされた高橋礼だけ。他の5投手は藤井、東浜の2勝をはじめ、いずれも白星を手にしている。3、4月は2連戦が3度ある変則日程で、先発6番手が不在でもやり繰りに困ることはない。

 加えて試合終盤の8、9回にはロッテから加入のオスナに、実績十分のモイネロがいる。力的に7、8回を任せられる投手を中盤からつぎ込めるのだから、新任の斉藤和巳投手コーチも安心して見ていられるのではないか。ベンチで藤本監督と笑顔で話しているシーンが多く見られるのも、その表れだろう。

 野手に目を向けると、やはり新加入の近藤の働きが光っている。WBCでは不動の2番として3大会ぶりの世界一に貢献し、チーム復帰後も元気いっぱい。古巣との対決となった日本ハム2連戦では12日の決勝弾を含む3安打3打点1本塁打、出塁率5割5分6厘でチームを連勝に導いた。昨季はケガに泣いた4番・栗原も3本塁打、両リーグトップの13打点と好調で、なかなか打球が上がらず1打点と苦しんでいる3番・柳田をうまく生かす形になっている。

 1番に座って既に4盗塁の周東、センター一本で「ジョーカー」からの卒業を目指すもチーム事情で二塁に回っている牧原大、ここまで打率2割5分8厘、6打点と打撃でも奮闘している甲斐の働きも見逃せない。

 周東の1番と牧原大の二塁での起用は「1番・二塁」に予定していた三森が不振から開幕二軍スタートとなったことによる〝プランB〟ではあった。ただ、周東が出塁するなり二盗を決め、近藤でかえすパターンは相手にとって脅威であり、5番に入った牧原大は栗原の後ろで残った走者の掃除やチャンスメークもできる。甲斐を含めたWBC組が機能していることで、どこからでも得点できる打線になっている。

 侍ジャパンで不動のレギュラーだったわけではない周東、牧原大、甲斐は、近藤とは違った角度からWBCで多くのことを学んだのだろう。大谷や吉田、村上、岡本和といったそうそうたる打者がいる中で、輪の中に入るだけでなく「自分のプレーで勝利に貢献する」という意識もより強くなったように思う。長いペナントレースでは山や谷もあるだろうが、自信を持って突き進んでもらいたい。

(本紙評論家)