ノアのGHCヘビー級王座から陥落した清宮海斗(26)が、緊急渡米することがわかった。世界最大プロレス団体の米「WWE」の2023年名誉殿堂「ホール・オブ・フェイム」入りした武藤敬司(60)の付け人として、セレモニーに同行することになった。どん底に落ちた〝方舟の未来〟はプロレスリングマスターから帝王学を吸収し、再びプロレス界の頂点を目指す。

 清宮は2月21日の武藤引退興行(東京ドーム)で実現した、新日本プロレスのIWGP世界ヘビー級王者オカダ・カズチカとの一騎打ちで惨敗。さらに今月19日の横浜大会では元3冠ヘビー級王者ジェイク・リーにも敗れ、GHC王座を失った。大一番で2連敗を喫し、絶望の淵に立たされていると言ってもいい。

 だが、そんな未来のエースに、団体側はとっておきの再起プランを提示だ。ノアを統括するサイバーファイトの武田有弘取締役は「負けてすべてがリセットされるわけじゃないですから、すぐに次に向かってほしい。ジェイク選手が言うように、清宮選手はもっとプロレスを楽しめるようにならなきゃ彼に勝てない」とし、本格的な武藤への弟子入りを勧める。

 具体的には化身のグレート・ムタでWWE殿堂入りした武藤の付け人として、31日(日本時間4月1日)にロサンゼルスのクリプト・ドットコム・アリーナで行われる殿堂入りセレモニーに同行させるという。しかも武藤は4月1、2日(日本時間2、3日)に行われる祭典「レッスルマニア39」(カリフォルニア州イングルウッド)でも殿堂入り者としてあいさつをする予定で、現地ではプロレス界の年間最大イベントも体感できる。

 武田氏は「日本にいると、なかなか武藤さんと一緒になれるチャンスはない。でも、向こうに一緒に行けば往復の飛行機の中とか、食事中とか話を聞くタイミングは存分にある。そこで帝王学をいろいろ聞くことができるでしょう。ぜひ〝武藤説法〟を聞いてきてください」と指示した。

 本場のプロレスを間近で感じるだけではない。武藤と一緒なら〝顔パス〟で、貴重な体験や出会いを果たすことは間違いない。「清宮に足りないものがすべて、そこにそろっているんですよ。だから車いすを押す係でも、かばん持ちでも何でもいいからずっと一緒にいてほしい」

 この提案を受けた清宮は「こんな状態の僕にいただけたチャンスなので、ぜひ同行させていただいて、一つも無駄にしないように吸収したいです」と即答。これまで武藤と1対1でじっくり話す機会はなかったとし「今回、四六時中ついて回って、できる限り話を聞きたい。武藤さんの周りのアメリカのプロレスの雰囲気とかも感じてきたいです。付け人も、かばん持ちも何でもします!」と目を輝かせた。

 さっそくノアが武藤サイドに申し出たところ、快諾を得たという。「今までのこともまた初心に戻って学びたいし、新しいことも学びたいです。とにかくどんどん吸収させてもらいたいと思います」と拳を握る清宮が復活のきっかけをつかむ。