ノアのGHCヘビー級王者・清宮海斗(26)に、ジェイク・リー(34)とのV5戦(19日、横浜武道館)が迫っている。厳しい立場に立つ中、周囲からの〝雑音〟は消えることがない。挑戦者から休業勧告を突きつけられているだけでなく、拳王(38)からはGHC王者の責任を問われ、引退を促された。後がない清宮は、悲壮な覚悟を示すが――。

 清宮の周囲が相変わらず騒がしい。2月21日の東京ドーム大会で新日本プロレスのIWGP世界ヘビー級王者オカダ・カズチカに惨敗した事実が、それだけ大きかったことを物語っている。

 特に辛辣なのが拳王だ。昨年9月にベルトを奪ったライバルからは「俺だったらノアのトップとしての責任感から(ベルトを)返上する。今回、負けたら引退しろ」とまで迫られた。

 これには普段は温厚な清宮も看過できなかったようだ。珍しく感情をあらわにしながら「引退なんかしても、意味ないですよ。今引退したら、負けたまま終わるってことじゃないですか? 負けるわけないので大丈夫です!」と語気を強める。

 団体を背負うプレッシャーに押しつぶされそうになりながら、オカダに真っ向から挑んだ自負がある。GHC王者がIWGP世界王者に敗れたのは確かだが、もう下を向くつもりはない。

「ベルトの価値を決めるのはファンの皆さん。なので、次の試合を見てベルトの価値が下がったのか、決めてほしい。全部をひっくり返します」

 何より、目の前の敵は拳王ではなくジェイクだ。前哨戦を1勝1敗で終えたことで「『笑顔が少ない』とか客観的な意見を今まで言われることもなかったので、おかげで気がつくチャンスをもらった。(横浜は)僕の笑顔を見に来てください」と感謝の言葉を贈れるほど自信を取り戻した。

 理由は2017年7月から5か月のカナダ武者修行時代を思い出したからだ。現地は大型の外国人選手ばかりで、時には身長2メートル、体重200キロの選手と戦うこともあった。「ふた回り大きい人と毎日戦い続けた。大きい人にどうやって立ち向かうかって考えながら、ボロボロになってた経験が今回、生かせるかな」

 ジェイクは身長で12センチ、体重は12キロ上回る192センチ、110キロだ。「前だけじゃなくて、上も下も空間を使いながら戦う。そこで生まれたのはウルトラタイガードロップ(変型トペ・コンヒーロ)なので、今のスタイルと海外のスタイルがマッチした、いつもと違う試合を見せられると思う」と笑みを浮かべた。

 GHC王者の真価が問われる一戦。「必勝」の二文字を背負いリングに立つ。