大会屈指の左腕が完投スタートだ。第95回記念選抜高校野球大会の第3日第3試合で優勝候補に挙げられる大阪桐蔭が登場し、エース前田悠伍投手(3年)が敦賀気比(福井)を8安打、1失点に抑えて完投勝利を上げた。

 チェンジアップが冴えわたり、決定打を許さなかった。打線が3回に3連打を浴びせて2点を先制。4回にエラーがらみで失点するが、後半にかけて尻上がりにギアを上げ、毎回の14奪三振で3―1と敦賀気比を退けた。

 昨夏の準々決勝敗退を経て主将として聖地に帰還した左腕は、心身ともに充実していた。「丁寧に力まず、力を抜いたところから100%に持っていくことを意識した。後半に向けて〝脱力からのスピードボール〟を目指していた。緩急をつけ、今日は自分の力を出し切れた」。マウンドでリラックスし「試合が始まって応援歌が流れ、すごく楽しかった。相手の応援も自分の応援と捉えて投げ込めた。自分は甲子園を経験してたし、その経験はすごいなと改めて感じた。何も緊張せずにいい空気感で試合に入れた」と納得の投球ができた。

 西谷監督も「前田は打者をしっかり見ながら最少失点に抑えた。最初は思い通りにいってなかったと思うけど、その中で相手を見ながら感じて投げた。7回くらいからボールが行きだした。80点くらい」と辛口の合格点を与えたが、一方で追加点がなかなか奪えなかったことで「攻撃でもっとたたみかけなければいけなかった。腰が据わった攻撃ができなかった。もっともっと鍛え、粘って粘って粘りぬく野球をしたい」と打線の奮起を促した。

 史上初の2度目の春連覇への道。その難しさを誰よりも感じているだけに指揮官の表情は険しかった。